オフィス環境を左右する要素のひとつが、休憩室(リフレッシュルーム)です。

リフレッシュスペースがあると、社員のリラックス促進、社員同士で気分転換、また、他の社員との交流によるコミュニケーション活性化のメリットがあります。

オフィス休憩室・リフレッシュスペースの改装や新設は、業務効率とチームワークをアップさせる快適空間を実現しると同時に、「企業の魅力を高める」ことにもつながります。

他にも、その設置方法や内装、機能などを工夫すると、スペースのマルチ運用、個人からグループへの創造性や生産性を高める効果も期待できるでしょう。

本記事では、オフィスにリフレッシュスペースを設けたいと考えている企業担当者の方に向けて、リフレッシュスペースの設置をおすすめする理由やその種類などを紹介します。狭小オフィスでリフレッシュスペースを確保できない場合の対処方法も紹介するので、本記事を読んで自社に合ったリフレッシュスペースの導入につなげましょう。

 

1.休憩室は不要?「人的資源重視の経営」に求められる“余白”の視点

 いきなりですが、空間コンサルティングの観点からも、「オフィスに休憩室は不要」という声もあらためて検証してみることにします。

なるほど、「オフィスに休憩室は不要」という経営者の声は、コスト意識や生産性重視の観点から一定の合理性を持ちます。しかし、「企業の成長は人的資源にかかっている」という本質的な視点から見直すと、その判断は必ずしも最適とは言えないというのが結論になります。それは、空間設計の立場から言えば、休憩室やリフレッシュスペースの設置は単なる“福利厚生”ではなく、“投資”と捉えるべき重要な経営判断の一つと行きつくからです。

現代のビジネス環境では、創造性・持続力・チームワークが成果を左右する大きな要素になっています。その中心にいるのが「人材」であり、従業員一人ひとりのコンディションやモチベーションが、組織全体の生産性や成長性を大きく左右します。集中と緊張の連続では、パフォーマンスはむしろ低下してしまうのが人間の特性です。

適切な“余白”を設けることで脳や身体をリセットし、再び高い集中力を発揮できる環境を整えることが、企業全体の利益に直結します。

また、近年注目されている“心理的安全性”や“エンゲージメント”の向上にも、休憩室の存在は寄与します。部門を越えた交流が生まれたり、上司部下の関係がフラットになることで、風通しの良い職場文化が醸成され、離職率の低下にもつながります。特に若年層の労働者にとっては、働きやすさ=企業の魅力であり、リクルートや人材定着の面からも、リフレッシュスペースは効果的です。

「休憩は外で済ませればよい」という考え方も、一見合理的に思えますが、業務生産性や職種の特性を踏まえると一概に最適とは言えません。

例えば、内勤業務や集中を要するクリエイティブ職では、短時間で気軽にリフレッシュできる環境が求められます。オフィス外での休憩は移動や環境変化に時間がかかり、かえって集中力を削ぐリスクもあります。また、外出が難しい繁忙時や天候不良時には、社内に休憩室があることが心理的な安心感にもつながります。職種によってはオンとオフを切り替えるための「緩衝スペース」が不可欠であり、休憩室はその役割を果たします。結果的に、社内に適切な休憩環境を設けることは、従業員のパフォーマンス維持や離席の効率化につながり、業務生産性を高める有効な手段といえるのです。

空間コンサルティングの立場から提案するのは、必ずしも広く贅沢な休憩室ではありません。限られたスペースでも、「落ち着ける椅子と照明」「静かに過ごせるコーナー」「カジュアルな打ち合わせができる場」など、用途に応じた機能的な設計は可能です。企業のカルチャーや働き方に合わせて空間を設計することで、最小限の投資で最大の効果を得ることも十分に可能です。

つまり、“休憩室は不要”という考えは、短期的・表面的な視点にとどまりやすく、中長期の人的資源戦略としてはリスクをはらんでいます。

オフィスという空間は、経営戦略の一部であり、企業の成長エンジンとなる“人”を最大限に活かすためのインフラでもあるのです。

 

2.オフィスにリフレッシュスペースの導入がおすすめな理由

 オフィスにリフレッシュスペースの導入をおすすめする理由にはさまざまなものがあります。ここでは、主な理由を5つ見ていきましょう。

 

①社員同士のコミュニケーション活性化につながる

リフレッシュスペースを導入すると、部署や役職を超えた社員同士のコミュニケーションを生み出せます。

社員の席が固定されているオフィスでは、他の社員との交流が限定的になりがちです。しかし、社員の誰もが気軽に足を運べるリフレッシュスペースがあると、普段接点の少ない社員同士が自然に出会う環境が生まれます。またカフェエリアやゲームコーナーなどが併設されたリフレッシュスペースでは、社員がリラックスできるため会話が弾みやすくなり、業務上では得られない関係性を構築します。

このような交流は企業全体の一体感を生む要因になり、チームワーク向上と風通しの良い職場環境の実現にもつながるでしょう。

②生産性向上が期待できる

企業全体の生産性の向上につながることも、リフレッシュスペースの導入をおすすめする理由の一つです。

社員が長時間業務に取り組むと、集中力の低下や疲労感の蓄積が起こって生産性が落ちてしまいます。そこで、社員がリフレッシュスペースを活用して適切な休息を挟む習慣が付くと、集中力の回復や生産性の向上が期待できるでしょう。

このように、リフレッシュスペースは社員が業務に取り組むために必要なエネルギーを再充電する場として機能します。

③創造性向上が期待できる

オフィスにリフレッシュスペースがあると社員の創造性が向上に役立つことも、設置をおすすめする理由の一つです。

照明やオフィス家具、内装などが執務エリアと異なるリフレッシュスペースでは、社員の脳がリラックスして普段生まれにくいアイデアが浮かびやすくなります。このような環境の変化が、日々の業務に対する新たな視点や発想を生むきっかけになることもあるでしょう。

特にクリエイティブな職種では、社員がリフレッシュして柔軟なアイデアを持てることで、ビジネス価値の創造やイノベーションのアイデアの創出が期待できます。

④社員の健康維持につながる

リフレッシュスペースの効果的な設置は、社員の健康維持にも役立ちます。

リフレッシュスペースに飲み物を楽しめるスペースなど設けると、リラックス効果を促進してくれます。また温かみのある照明や柔らかい素材のソファーなどは、社員の目や肩の疲労感を和らげ、長時間のデスクワークによる身体的負担を軽減してくれるでしょう。

このように、社員一人ひとりが「仕事の合間にうまくリフレッシュできている」と実感できると、社員のメンタルヘルスの維持にも効果的です。自席では仕事モードから抜け出せなくても、リフレッシュスペースなら意識的に休憩できるので社員のワークライフバランスにも貢献できます。

このように、社員の健康が保たれると企業全体の離職率や欠勤率が下がり、持続的な成長の基盤になるでしょう。

⑤企業の魅力アピールの一環になる

オフィスに魅力的なリフレッシュスペースが設置されていると、求職者やオフィス来訪者へのアピールとしても効果的です。

近年、求職者が企業の労働環境を重視する傾向が強まっています。そのため、社員の快適さや健康に配慮したオフィス空間は「社員を大切にする企業」などのイメージをもたらしてくれます。企業の良いイメージは、優秀な人材の獲得競争で優位に立ちやすいだけでなく、既存社員の満足度向上や定着率アップにもつながるでしょう。

またリフレッシュスペースは取引先や来訪者に対する企業ブランディングにも活用できます。リフレッシュスペースが企業文化や価値観をうまく反映していると、外部から評価されるきっかけになります。

このように人材確保と企業イメージの双方に好影響を与えるリフレッシュスペースは、長期的な企業成長への投資になるでしょう。

 

3.リフレッシュスペースの種類

 導入するとメリットが多いリフレッシュスペースには、大きく分けて「個の休息型」と「従業員同士の交流型」の2つがあります。ここでは、それぞれのリフレッシュスペースの特徴を見ていきましょう。

 

個の休息型

リフレッシュスペースの種類の一つに、休憩・休息型があります。このリフレッシュスペースは、社員の心身をリラックスさせて、エネルギーを回復するために設置される空間です。施工型パーテーションで独立した部屋を設置したり、またその室内でパーソナルスペースを設置するのもアイディアです。

仮眠室などの静かな空間を取り入れると、疲労回復と集中力向上には効果的です。社員の心を落ち着かせる環境を提供できるので、マインドフルネスを取り入れている企業に人気があります。

これらの空間は、業務エリアから適度に離れた場所に設置されることが多く、自然光を取り入れたり観葉植物を置いたりしてリラックスムードを高めると効果的です。プライバシーを確保できる個室・半個室を含めた設計にするのも良いでしょう。

オフィスの休憩スペース

オフィスの休憩スペース

イージーウォールでオフィスの休憩スペース

従業員同士の交流型

リフレッシュスペースのもうひとつの種類は、気分転換・交流型です。このリフレッシュスペースは、社員間のコミュニケーションを促して活力を取り戻す目的で設置されます。

例えば、可動式のローパーテーションで柔軟にレイアウトを変更できるリフレッシュスペースに、ソファ家具やモニター、マットなどを設備すれば、空間利用の幅が広がります。

また、カフェスペースがあると、従業員同士で飲み物やランチを楽しみながら気分転換ができます。執務スペースとは異なるリラックス感のある内装にくつろぎやすい椅子やテーブル、キッチン設備などを配置するのが一般的です。

他にも、フィットネスエリアを設置すると、日中デスクワークが多い社員の運動不足やストレスの解消に役立ちます。ランニングマシンやストレッチコーナーを設ければ、社員の誰もが自由に運動できる環境が整います。

オフィスのフィットネスルーム

 

4.リフレッシュスペースを作る際のポイント

 リフレッシュスペースを作る際は、どのようなポイントに気を付けると良いのでしょうか。ここでは、リフレッシュスペース設置の際に意識したいポイントを6つ解説します。

 

①社員のニーズを把握する

リフレッシュスペースを作る前に、社員のニーズを把握しておきましょう。オフィスに勤務している社員の年齢層や職種、部署などで希望の休憩方法が異なるケースもあるため、業種別や職種別のオフィスの休憩室の施工事例を参考にするのも有益です。

②スペースの用途を明確にする

明確な用途に沿ってリフレッシュスペースの設備やレイアウトの検討を行うことも、欠かせないポイントの一つです。

例えば、社員のストレス軽減とコミュニケーション向上の2つの異なる用途では、必要な設備やレイアウトが異なります。そのため、効果的な空間作りを行うためにも、指針となる用途や活用方法をはっきりと示す必要があります。

せっかくのリフレッシュスペースも、あまり活用されないのとなっては、無駄な投資となってしまいます。

③適切な設置場所を検討する

適切な設置場所の検討も、リフレッシュスペースを作る際のポイントの一つです。

リフレッシュスペースの効果は、設置場所に左右されます。前述した社員のニーズやスペースの用途を満たすためにも、適切な設置場所を選定しましょう。

例えば、社員のコミュニケーションを促すのが目的なら、オフィスの中心など社員の日々の動線上で自然と立ち寄りやすい場所が良いでしょう。一方、社員の休息が目的なら、執務スペースから離れた落ち着ける場所が良いかもしれません。しかし、リフレッシュスペースが執務スペースから遠すぎると利用率の低下につながるケースもあるので注意が必要です。どの部署からもアクセスしやすく、空間の目的に合った場所を選定するようにしましょう。

また窓際など採光の良い場所では、自然光が気分を高揚させて開放感のある空間を実現できます。外の景色を効果的に取り入れると視界が広がり、心理的なリフレッシュ効果も高まりやすいでしょう。窓際にリフレッシュスペースを設置できなければ、森林や海などの景色が印刷されたグラフィックシートを壁面に施すのも効果的です。

④執務スペースとは違う雰囲気を意識する

執務スペースとは違った内装で雰囲気を作り出すことも、リフレッシュスペースを作る際のポイントです。

社員が仕事の合間に効果的にリフレッシュするには、日常の業務環境から離れた異空間の提供が大切です。そのため、街中のカフェやホテルのラウンジ風、ナチュラルなグリーンに囲まれた空間など、執務スペースとは異なる雰囲気作りが大切です。木製製品など温かみを感じられる椅子やテーブル、フレッシュな印象の観葉植物などを取り入れてみる、他にも、アロマディフューザーを導入すると社員の五感をうまく刺激でき、リラックス効果を高めてくれるでしょう。

⑤プライバシーの保護を意識する

適切なプライバシー保護の意識も、リフレッシュスペースを作る際のポイントです。

完全にオープンな空間だと、社員が周囲の視線や音が気になりリラックスできない場合があるので、適度なプライバシーを確保しましょう。具体的には、パーテーションの間仕切りを活用した半個室型のブースの設置や、高さのあるプランターなど、視線を遮るオフィス家具を配置すると良いでしょう。

また音環境にも配慮し、吸音パネルや防音材を適所に用いることで、快適な音響空間を実現できます。社員一人ひとりの休息スタイルを尊重した空間づくりが、リフレッシュスペースの利用満足度を高めやすくなります。

⑥運用ルールを明確にする

リフレッシュスペース運営のルールの明確化も大切なポイントの一つです。

スペースの明確なガイドラインが存在しないと、他の社員からだらけていると思われたり、利用者間のトラブルが起きたりしかねません。健全な運用には、利用時間や飲食可能な範囲など、基本的なルールを定めておくことが大切です。

特に就業時間内の利用に関しては、社員同士のカジュアルなコミュニケーションを許容する雰囲気作りが大切でしょう。ルール作りの過程では、社員の意見を積極的に取り入れ、実際の利用状況に応じて柔軟に見直していくことが重要です。

リフレッシュスペースの本来の目的を達成するためにも、過度に厳しい制限を設けるのではなく、社員の自主性を尊重した運用ルールにしましょう。

 

 

5.リフレッシュスペースを設ける場所を確保できないときは?

オフィスにリフレッシュスペースを設ける場所がない場でも、ちょっとした工夫で効果的な空間を設けることができます。ここでは、リフレッシュスペースを設けられないときの対処方法を3つ紹介します。

①既存の家具を変更する

オフィスにリフレッシュスペースを設ける場所がない場合は、既存のオフィス家具を変えてみましょう。

具体的には、パイプ椅子など硬い素材の椅子の代わりにソファーやクッションを置いたり、カウンターテーブルを設置したりするなどです。オフィス家具の素材や印象を柔らかいものに変えるだけで、緊張感を和らげた空間を作れるでしょう。

②ミーティングスペースを兼用する

ミーティングもできるスペースをリフレッシュスペースとして兼用するのも対処方法の一つです。

特に会議室の使用頻度が低い企業では、時間帯や曜日で会議室とリフレッシュスペースの兼用を検討しましょう。リフレッシュスペースが確保できないオフィスでも、会議室を利用するとスペースの有効活用につながります。

③オフィスの拡大・改装を検討する

リフレッシュスペースの必要性があるなら、オフィスの拡大や改装も検討してみましょう。

拡大や改装に詳しい専門業者に相談すると、予算に沿ったレイアウトや空間デザインの提案を受けることが可能です。社員のコミュニケーションの促進や生産性向上など、長期的な目線でメリットを実現したいなら、オフィスの工事を検討するのがおすすめです。

 

 

5.施工型パーテーションで実現する、快適で機能的なオフィス休憩スペースのつくり方

 オフィスにおける休憩室やリフレッシュスペースの重要性が高まる中、限られたスペースの中で効率的かつ快適な空間を生み出す手段として「施工型パーティション」の導入は有効な工事手段といえます。

LGSなど従来型固定壁と比較して、パーテーションには“レイアウトの自由度”と“デザイン性”の両立という大きなアドバンテージがあり、空間の質を高めながら働きやすさを演出することが可能です。

まず、施工型パーテーションの最大のメリットは、設計やレイアウトの自由度が非常に高い点です。天井までしっかりと区切るタイプから腰高のセミオープン型まで、スペースの用途や企業の雰囲気に合わせて構成を自在に変えられます。たとえば、外部の音や視線を遮る“静かな休憩エリア”をつくる一方で、開放感のある“カジュアルなリフレッシュスペース”を同じフロア内にレイアウトすることも可能です。

次に、デザインのバリエーションが豊富である点も施工型パーテーションの魅力です。ナチュラルな木目調パネルやヒーリング効果のあるグリーンウォール、明るいガラスパネルとの組み合わせなど、素材やカラーを工夫することで、企業のブランディングやオフィス全体の雰囲気に調和した空間づくりが実現できます。休憩スペースはライトなな商談スペースにもなり得る場所。従業員だけでなく来客者にもポジティブな印象を与える空間に仕上げることが可能です。

さらに、パーテーションは将来的なレイアウト変更にも対応しやすい構造となっており、働き方の変化や組織の拡大に応じて空間を見直す際にも柔軟に対応できます。これは、企業の成長スピードが速い現代において非常に重要なポイントです。休憩室の拡張や用途変更が必要になった際でも、部分的な改修で済むため、コストを抑えながら常に最適なオフィス環境を保つことができます。

つまり、施工型パーテーションは単なる“間仕切り”ではなく、企業の働き方や組織文化に合わせた“空間戦略のソリューション”といえます。特に休憩室やリフレッシュスペースのように「働く人の心身に影響を与える場所」には、その柔軟性と意匠性が最大限に活かされるのです。

快適な空間設計によって従業員の満足度や生産性を高め、企業全体のパフォーマンス向上に寄与する──

それが、企業成長とその最大のリソースといえる「人的資源」を支援する、施工型パーティションがもたらす価値です。

オフィスのリフレッシュルーム

オフィスのリフレッシュルーム

オフィスのリフレッシュルーム

オフィスのリフレッシュルーム

 

6.まとめ

 オフィスにリフレッシュスペースを導入すると、社員同士のコミュニケーションの活性化や生産性・創造性の向上が期待できます。

他にも、社員の健康維持に貢献したり企業イメージのアピールができたりするなど、リフレッシュスペースを設置すると得られるメリットはさまざまです。

パーテーションラボでは、オフィスの限られたスペースにパーテーションを使ってリフレッシュスペースを設けた施工事例が数多くあります。アルミパーテーションやスチールパーテーション、ガラスパーテーションなど異なる素材のパーテーションを組み合わせて、お客さまが求めているリフレッシュスペースを実現します。

オフィス内装自体も有効活用して、戦略的なリフレッシュスペースを設置したい企業様はぜひパーテーションラボへご相談ください。

 

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