オフィス移転や内装デザインの検討にあたり、新しいオフィス空間を創り上げる際に「デザイン性」や「機能性」と同じくらい重要な要素が「安全性」です。

火災など万が一に備え、従業員や来客の命を守り、オフィスという資産を守るためには、内装材の選定基準にも「防火」という視点を加えることが不可欠です。しかし、建築基準法で定められている「不燃材料」や「防火材料」といった専門用語は、普段、馴染みがなく、難しく感じられるかもしれません。

本コラムでは、建築基準法における不燃材料の定義や性能、そして不燃・準不燃・難燃材料の違いについて分かりやすく解説します。

 

1. 不燃材料とは|準不燃材料・難燃材料との違い

 オフィス内装において、最も重要な防火規定が「防火材料」に関するものです。防火材料は、火災時に高温にさらされても、建物の安全性を損なわないように設計された材料の総称です。

建築基準法では、防火材料に以下の3つの条件が定められています。

  • 燃焼しないこと。

  • 防火上有害な変形、溶融、き裂、その他の損傷を生じないこと。

  • 避難上有害な煙またはガスを発生しないこと。

これらの条件をクリアした材料は、その性能に応じて以下の3つのグレードに分類されます。

防火材料の種類 認定条件
不燃材料 加熱開始後20分以上、上記の要件を満たすこと
準不燃材料 加熱開始後10分以上、上記の要件を満たすこと
難燃材料 加熱開始後5分以上、上記の要件を満たすこと

防火性能は、「不燃>準不燃>難燃材料」の順で高くなります。

つまり、不燃材料を使用しなければならない箇所には、準不燃材料や難燃材料は使用できません。一方で、難燃材料の使用が求められる箇所には、より性能の高い準不燃材料や不燃材料を使用することが可能です。

防火・耐火・不燃の使い分け

防火、耐火、不燃という言葉は混同されがちですが、建築基準法ではそれぞれ異なる意味で使い分けられています。

  • 防火:建物の構造や設備、区画の設計に対して用いられる言葉です。

  • 耐火:建築物やその構造全体に対して用いられる言葉です。

  • 不燃:特定の材料そのものに対して用いられる言葉です。

 

2.なぜオフィスに不燃材料が必要なのか?|用途と施工部位

 不燃材料がオフィス内装において不可欠である理由は、火災時の人命保護と延焼防止にあります。特に、多くの人が集まるオフィスは、不特定多数の人が利用する「特殊建築物」に該当する場合があり、建築基準法に基づく厳しい「内装制限」が適用されます。

特殊建築物の内装制限

内装制限とは、火災発生時に内装材が燃え広がり、避難経路を塞いだり、有毒ガスを発生させたりするのを防ぐための規定です。以下の条件に該当する建物の「居室、廊下、階段等の壁・天井」には、不燃・準不燃・難燃材のいずれかを使用することが義務付けられています。

  • 特殊建築物(オフィス、病院、学校、ホテルなど)の「居室および廊下や階段等の壁・天井」

  • 3階建て以上、または延べ床面積が500㎡を超える特殊建築物以外における「居室および廊下や階段等の壁・天井」

  • 11階建て以上の全建築物における「居室および廊下や階段等の壁・天井」

これらの規定は、建物の規模や用途、さらには調理室などの火気を使用する場所かどうかによって細かく定められています。

防火区画を除けば、多くのオフィスでは準不燃材料や難燃材料で規定をクリアできますが、従業員や来客の安全を第一に考えるのであれば、より防火性能の高い不燃材料の採用を検討すべきです。

 

3.不燃材料の種類

 不燃材料は、大きく分けて「告示で定められている材料」と「国土交通大臣より個別認定されている製品」の2種類に分類されます。

告示で定められている不燃材料

これらの材料は、すでに建築基準法で不燃性能が認められているものです。

  • コンクリート

  • れんが

  • 陶磁器質タイル

  • 繊維強化セメント板

  • 厚さが3mm以上のガラス繊維混入セメント板

  • 厚さが5mm以上の繊維混入ケイ酸カルシウム板

  • 鉄鋼

  • アルミニウム

  • 金属板

  • ガラス

  • モルタル

  • しっくい

  • 厚さが12mm以上のせっこうボード

  • ロックウール

  • グラスウール板

 

4.不燃認定とは

 建築基準法には防火材料についての項目があり、不燃材料のほか準不燃材料や難燃材料などがそれに分類されています。

材料そのものは高温になるものの、発火するまでに時間がかかり燃えにくいなどの特徴を持っています。これらの防火材料を認定するのは国土交通大臣です。

不燃材料などと認定されるためには、以下のような具体的な基準を満たさなければなりません。

  • 加熱しても一定時間は燃焼しないこと。

  • 燃焼しないと同時に、加熱によって変形や亀裂などの有害な損傷を生じさせないこと。

  • 煙などの有害なガスを発生させないこと。

上記の基準を加熱開始から一定時間満たす材料について、国土交通大臣が不燃材料、準不燃材料、および難燃材料と認定します。

具体的には、不燃材料が加熱開始から20分、準不燃材料が10分、難燃材料が5分です。つまり、不燃材料の認定を受ける材料は、火災が発生しても20分は安全が保証されていることになります。

パーテーション工事も、この不燃材料の認定を受けた材料を用いた製品が必須の施工条件の物件があります。

国土交通大臣より個別認定されている不燃材料

告示で指定されていない材料でも、通常の火災と同等の加熱試験によって防火性が証明され、国土交通大臣から個別に認定された製品もあります。認定を取得した防火材料には、それぞれ認定番号が付与されます。

防火材料の種類 認定番号
不燃材料 NM-○○○○(内装材)<br>NE-○○○○(外装仕上げ材)
準不燃材料 QM-○○○○(内装材)<br>QE-○○○○(外部仕上げ材)
難燃材料 RM-○○○○(内装材)<br>RE-○○○○(外部仕上げ材)

※○○○○には認定番号が入ります。

不燃材料には認定を受けていることを証明するラベルがあります。

材料自体にラベルを貼り付ける義務はないのですべてに当てはまることではありませんが、不燃性能の高いアルミパーティションを選ぶ時は、ラベルの有無を一つの基準にするのも良い方法でしょう。

 

5.不燃材料を使ったパーテーション

不燃材料の認定を受けるパーテーションというと、従来はスチールパーテーションが一般的でした。

スチールに石膏ボードを組み合わせたパーテーションですので、耐火性・耐熱性に優れているだけでなく、高い遮音性があるのも大きなメリットです。

安全性を重視する場合に、スチールパーテーションが選ばれることが多かったのですが、重量がありコストが高いというデメリットもあります。

アルミパーティションはスチールパーテーションより軽量で低コストなのがメリットですが、従来は不燃材料の認定を受けたものはそれほどありませんでした。

しかし、製品開発が進んだこともあって、現在は高い不燃性能を持つアルミパーティションも定着しています。

オフィスビルの高層化などさまざまな理由によって、パーテーションにも高い耐火性・耐熱性が求められています。

不燃性能が高いパーテーションとしてスチール製のものが一般的でしたが、不燃認定のアルミパーティションも選択できるようになっています。

 

6.不燃・準不燃・難燃材料の選定におけるチェックポイント

 オフィス内装材を選定する際には、防火性能だけでなく、いくつかのポイントを総合的に検討することが重要です。

建築基準法における仕様制限

まずは、計画しているオフィスがどの防火規定に該当するかを確認します。建物の用途、階数、延べ床面積、火気使用の有無などによって、求められる防火材料のグレードが異なります。これらの規定をクリアすることは、プロジェクト成功の第一歩です。

施工効率性

特にパーテーションの場合、施工の効率性は工期やコストに直結します。 アルミパーテーションは、軽量で施工が容易なため、短期間でのレイアウト変更や設置・撤去が可能です。また、工場で生産されるため、品質ムラが少なく、安定した施工を実現します。

意匠性(デザイン性)

安全性を確保しつつ、オフィスのブランドイメージを体現するデザイン性も重要です。 パーテーションラボのアルミパーテーションは、豊富なカラーバリエーションと素材の組み合わせによって、多様なデザインニーズに対応します。ガラスパネルと組み合わせて採光性を確保したり、木目調シートで温かみを加えたりするなど、お客様の理想の空間を形にすることができます。

環境配慮性(SDGs)

近年、企業にはSDGsへの取り組みが強く求められています。環境に配慮した建材を選ぶことも、企業の社会的責任を果たす上で重要な要素です。 アルミパーテーションは、リサイクルが容易なアルミを主材としているため、環境負荷を低減できます。また、既存のパーテーションを移設したり再利用したりすることで、廃棄物の発生を抑えることにもつながります。

 

7.パーテーションに求められる不燃性能

 オフィス空間を構成する上で不可欠な要素であるパーテーションにも、建築基準法に基づいた防火性能が求められます。特に、内装制限を受ける建物に設置するパーテーションは、その性能を証明する不燃認定が必須となります。

不燃認定を取得するには、国土交通大臣による厳しい加熱試験をクリアしなければなりません。

パーテーションラボの不燃認定製品

パーテーションラボのアルミパーテーションは、国土交通省の認定を取得した安心安全の不燃認定製品です。

  • 認定番号:NM-2943

当社のアルミパーテーションは、万が一の火災時にも、有害な煙やガスを発生させず、変形や溶融によって避難経路を塞ぐことがないよう設計されています。

 

8.パーテーションラボが不燃性能にこだわる理由

 オフィス内装において、パーテーションは単なる間仕切りではありません。従業員の安全を守り、万が一の災害時にも被害を最小限に抑えるための重要な「防火設備」としての役割も担っています。

パーテーションラボでは、お客様に安心・安全なオフィス空間を提供するため、製品の不燃性能に徹底的にこだわっています。

人命保護の最優先

火災発生時、最も重要なのは従業員の命と安全な避難経路の確保です。不燃認定を受けたパーテーションは、火災の延焼を抑制し、有毒ガスの発生を抑えることで、避難時間を確保します。これは、企業の社会的責任としても非常に重要な要素です。

資産の保護と事業継続

火災は、オフィス内の設備やデータ、書類といった貴重な資産を瞬時に失うリスクを伴います。不燃材料のパーテーションは、火災の拡大を防ぎ、被害を限定的にすることで、事業の早期復旧を可能にします。これは、企業の事業継続計画(BCP)においても欠かせない対策です。

法令遵守とリスク管理

オフィスビルの規模や用途によっては、建築基準法によって不燃材料の使用が義務付けられています。不燃認定製品を選ぶことは、法令を遵守し、将来的な罰則や行政指導のリスクを回避することにつながります。パーテーションラボでは、認定番号NM-2943を取得したアルミパーテーションをはじめ、各種不燃認定製品をご用意しており、お客様のコンプライアンス順守をサポートします。

 

 

まとめ:安心安全なオフィスは「不燃認定製品」から

  • 建築基準法における不燃材料は、火災時における建物利用者の安全や周囲への延焼を抑えるための「防火材料」に分類されます。

  • 建物の用途や規模、部位によって、不燃・準不燃・難燃材料を使い分ける必要があります。

  • パーテーションラボのアルミパーテーションは、国土交通省の認定取得製品で安心安全の不燃認定製品(認定番号 NM-2943)です。

オフィスを創り上げることは、企業文化を形作り、従業員の働きやすさを向上させるための重要な投資です。その一方で、火災から従業員の命と資産を守るという、経営者として最も重要な責任を果たすための基盤でもあります。

パーテーションラボは、防火性能に優れた不燃認定のアルミパーテーションをはじめ、オフィス移転やレイアウト変更に関わる様々なサービスを提供しています。

パーテーションの選定にも、お客様が安心してオフィスを使用できるよう、専門知識と経験を活かしたサポート体制を整えています。防災や防火、安全性に優れたオフィス空間の創造は、企業の信頼性を高め、従業員の安心感につながります。

「不燃材料についてもっと詳しく知りたい」「私たちのオフィスにはどのグレードのパーテーションが必要?」など、ご質問やご相談がございましたら、お気軽にパーテーションラボまでお問い合わせください。

 

 

パーテーションラボのアルミパーテーションは品質性能試験をクリアした正規の不燃認定製品(認定番号 NM-2943)です。難燃性のコアを採用し高い不燃性能を誇る不燃アルミパーテーションも好評です。

9月1日防災の日|パーテーションの防災性能