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目次
オフィスの内装工事を行う際、経験のある経理担当者であれば、「工事費は一括で原則として、内装工事費を支払った年度にまとめて経費として計上処理することは認められていない」ことや、「ある条件の場合には一概にそうとも限らない」ことは周知のうえかと思います。
内装工事の経費処理は税務上の判断が複雑で、「修繕費」「建物付属設備」「資本的支出」などの区分を誤ると、後に税務調査で指摘を受ける可能性があります。正しい勘定科目を選んで資産計上するためにも、内装工事費の正しい知識を身に付けることが大切です。
一方で、経営者は、資産管理担当者や経理担当者に、単なる会計上の納税処理や節税対策業務以上に、内装工事の会計処理が、実は「長期的な経営戦略の一環であり、企業の成長を支える基盤となる本当の理由」を説明できるようにすべきです。
この記事では、内装工事費用の減価償却の仕組みと、意外と知られていない、「自社所有建物と賃貸では耐用年数の考え方が異なる点」を解説します。さらに、パーテーションメーカーの専門的立場から、「パーテーション活用で実現する少額減価償却の節税メリット」についても解説いたします。本記事を読んで、それら内装工事の会計処理が企業経営に密接に関わる、「本当の理由」を解説いたします。
オフィスの内装工事にかかった費用を、その支払いをした年度に一括で経費として計上処理するのは基本的には認められていません。
これは、内装工事によって建物の価値や性能が向上し、長期間にわたって使用されるためです。ここでは、経理処理を行う際に必要な「減価償却」の内容や、内装工事の費用がその対象に当てはまる理由を詳しく見ていきましょう。
減価償却とは、長期間使用される建物や設備などの固定資産について、取得費用を一度に経費計上するのではなく、法定耐用年数に応じて分割して費用計上する会計処理のことです。これにより、財務上のバランスを保つことが可能になります。
資産の使用可能な期間のことで、国が定めたものであり、「法的耐用年数」とも呼ばれます。具体的な耐用年数は、財務省令に基づく「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」によって資産の種類や構造、用途ごとに分類されています。
「耐用年数」は、財務省令で定められている「減価償却費の耐用年数に関する省令」の別表で確認できます。この別表には、建物や設備、機械装置など、資産ごとの具体的な年数が規定されているのが特徴です。
基本的に、耐用年数は建物の寿命ではなく、建物の構造や用途に応じて国が定めている「資産を使用可能とみなす期間」なのであり、また、実際の使用状況やメーカーが示す耐久年数とは必ずしも一致しない点で注意が必要です。
内装工事が減価償却の対象になるのは、工事によって建物の価値や性能が向上し、使用可能期間が延びるためです。
主な内装工事には、間仕切り壁や床の設置、天井の全面的な改装、塗装工事などが含まれます。また、電話・照明・空調・防災に関連する設備工事も、建物の固定資産価値を高めるため減価償却の対象です。
経理処理では、これらの内装工事にかかった支出を「資本的支出」として分類・計上します。
資本的支出は、長期的な投資と見なされ、その効果の恩恵を受ける期間にわたって費用が配分されることになります。
*資本的支出は、財務諸表であるPL(損益計算書)とBS(貸借対照表)においては、全く異なる勘定科目に置かれ、企業の財務状況と経営成績に大きな影響を与えます。
P/L(損益計算書)
減価償却費
B/S(貸借対照表) 固定資産
実務においては、この区分を誤ると税務調査で指摘され、追徴課税の対象となる可能性があるため、判断基準(特に税法上の特例)に基づいて適切に処理することが重要です。
内装工事にかかった費用を減価償却する場合、基本的には「定額法」を用いて、総額を耐用年数で割った「減価償却費」を算出します。定額法では、取得費用を耐用年数で均等に割り、毎年同じ金額を経費として計上していくため、財務管理の安定性が確保しやすくなります。そして、この金額を経理処理で数年にわたって計上するのが「減価償却処理」です。
*【賃貸契約期間を耐用年数とできる特例】
賃貸物件であっても、以下の全ての条件を満たしている場合は、例外的に賃貸契約の期間を耐用年数として適用することが可能です。
内装工事費は「建物」と「建物付属設備」の2つの勘定科目を使用することが主になります。
内装工事のうち、建物本体に固定されて分離できない工事は「建物」として計上します。
具体的な工事内容は、壁・床・天井などの造作部分、窓ガラス・防水・塗装工事などです。オフィスの間仕切りに使われるパーテーションは、施工工事が必要で動かせないものは「建物」として計上されます。
建物は、賃貸か自己所有かによって減価償却の際の耐用年数が異なることも大きな特徴です。賃貸物件の場合は、建物の種類や使用されている材質など、総合的な観点から見積もった耐用年数を使用します。建物を自己所有している場合は、基本的な耐用年数に沿って減価償却処理を行いましょう。
内装工事のうち、建物本体に付属して機械で自動的に動く設備や、可動式で再利用できる設備は、「建物付属設備」として処理します。
具体的な工事には、照明・通信・換気・冷暖房・ガス・ボイラー・給排水・衛生設備などが含まれます。建物付属設備は、建物に固定されていて建物の利用価値を増加させている設備なのが特徴です。また、耐用年数は基本的に15年に設定されています。
内装工事費を経費として一括計上できるケースには、「修繕費に該当する場合」と「工事費用が少額な場合」の2つのパターンがあります。ここではそれぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
建物の機能維持や原状回復を目的とした工事は修繕費として扱われ、同年度に経費計上できます。
具体的な工事例は、壁のひび割れ補修や床の一部分補修、使用している設備の部品交換などです。原状回復工事は、賃貸物件から退去する際、破損したり変更したりした部分を入居前の状態に戻す工事です。これらの工事は建物の価値向上が目的でないと判断されます。
工事費用が少額な場合、内装工事費を一括計上できるケースがあります。ここでは、費用が10万円未満と30万円未満の2つのケースを見ていきましょう。
内装工事にかかった金額が10万円未満だった場合、「消耗品費」の勘定科目で経費を一括計上できます。
ただし、消耗品費として計上する条件は、「取得価額が10万円未満」または「1年未満で消耗する物品」のいずれかです。消耗品費として計上できる代表的な内装工事には、小規模な部材交換や補修の材料費、少額で購入した照明器具やブラインド、フロアタイルなどがあります。
国税庁が定める中小企業に当てはまり、一定の条件を満たす場合も経費の一括計上が可能です。
「少額減価償却資産の特例」は、中小企業が30万円未満の資産を年間合計300万円まで一括で経費計上できる仕組みです(※)。青色申告をしていることや、1年間の合計支出が300万円を超えた場合は、通常の減価償却で経費計上を行うことが前提条件になっています。
この特例を用いた企業は、通常は減価償却対象となる備品や設備の一部を支出年度に経費化できます。会計処理が簡単になり、節税効果も期待できるため、該当する場合は活用しましょう。
引用:国税庁.「No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」.(参照2024-04-01)
前項の通り、内装工事が修繕費や少額資産の特例に該当する場合、支出した年に経費を一括計上できます。
その際に使う主な勘定科目は、「修繕費」「消耗品費」「工具器具備品」です。ここでは、それぞれの勘定科目の内容や適用範囲を理解しましょう。
「修繕費」は、建物や設備の維持、機能回復を目的とした支出を計上する勘定科目です。
基本的に、建物の劣化した部分の修理、破損部分の補修、部品交換など、工事内容が資産価値向上を伴わない場合に使われます。修繕費として認められた支出は、その年度の経費として全額を計上できます。
修繕費の判断には「機能の維持を目的とした支出かどうか」の観点が欠かせません。例えば、古い壁紙の張り替えや空調機器の交換が、性能向上ではなく現状維持を目的とする場合にのみ該当します。そのため、修繕費として計上したい支出がある場合は、契約書や工事仕様書に「修繕目的」と明記しておくと分かりやすいのでおすすめです。建物の価値を実質的に高める内装工事を修繕費として処理すると、税務調査で否認されるリスクがあるため注意しましょう。
「消耗品費」は、取得価額が10万円未満、または使用期間が1年未満の条件を満たす支出に適用される勘定科目です。
内装工事では、壁紙や照明器具のように定期的な取り換えが必要なものや、材料費が該当します。他にも、軽微な材料費や補修部品の費用、内装工事に付随する小規模部材の交換なども該当するケースがあります。ただし、工事にかかった経費を消耗品費扱いにするのは条件が厳しく、税務調査の際に認められない場合もあるので注意しましょう。
何を消耗品費にするか判断に迷う場合は、会計基準や税務上の定義を確認し、経理担当者間でルールを統一しておくと良いでしょう。
「工具器具備品」は、取得価額が10万円以上の事業用備品で、1年以上使用する固定資産に適用される勘定科目です。
具体的なものに、移動可能なパーテーションや、建物本体に固定されない移動可能な設備や備品があります。机や椅子、金庫、パソコン、電話設備なども工具器具備品です。条件を満たす中小企業が「少額減価償却資産の特例」を用いる場合は、取得価額が30万円未満の備品を一括で経費化できるケースもあります。
基本的に、工具器具備品扱いにできるものは建物に固着しているかどうかで判断します。建物に埋め込まれている設備などは「建物付属設備」に当てはまるので、慎重に判断しましょう。
内装工事費を適切に処理しないと、後の税務調査や会計監査で不正処理と見なされるリスクがあります。
税務上の判断は一見シンプルに思えても、実際には線引きが難しいことも多いため、専門家を交えた確認を行うのも良い方法です。
内装工事の勘定科目の判断に迷う際は経理担当者だけで判断せず、顧問税理士と相談して処理方針を統一しておくと、トラブルを防ぎやすいでしょう。ここでは、他にも注意しておきたいポイントを3つ紹介します。
内装工事費をめぐる税務上のトラブルを避けるためにも、工事実行前後の状態を示す契約書や写真を保管しておきましょう。見積り書や請求書、領収書、設計図などの証憑資料も保管しておきたい対象です。
このような証拠があれば、どの部分が修繕目的か改良目的かを判断しやすく、適切な勘定科目を選びやすくなります。内装工事の内容をより明確にするために、請求書や見積り書を「修繕」や「改良」に分けて発行してもらうのもおすすめです。
万が一、税務署や会計監査で指摘された際のために、支出内容の実態を説明できる証拠を可能な限り保管しておきましょう。
内装工事費は、むやみに修繕費として計上しないように気を付けましょう。
本来は資産計上して減価償却が必要な内装工事を修繕費として一括で計上すると、後に税務調査で否認され、追徴課税や過少申告加算税の対象になる可能性があります。
特に金額が大きい工事や修繕費を適用するか迷う工事は、税理士や会計士に相談してから計上するようにしましょう。
内装工事を計上する際は、工事費用を分解して処理する方法も視野に入れておきましょう。
例えば、同じ内装工事でも、部位や工事項目によって「修繕に相当する部分」「改良に相当する部分」が混同するケースがあります。その場合は、工事請負業者に内訳明細を出してもらい、修繕に当たる部分を修繕費、改良に当たる部分を資本的支出として分割処理するのが適切です。
このやり方を採用すると、課税上のリスクを抑えつつ、合理的な会計処理が可能になります。請求書や見積書が詳細に分かれていないと、分割処理が難しくなるため、契約段階で明細を出してもらうよう交渉しておくと良いでしょう。
内装工事費の会計処理は、複雑なパズルのようなもに感じるかもしれません。
しかしながら、各ピース(工事内容)を「修繕費」「建物」「建物付属設備」などの正しい箱(勘定科目)に分類し、適切な期間(耐用年数)に分けて経費化していくことで、長期的に見て最適な財務バランスを保つことができます。
特にパーテーションは、固定式か可動式かによって分類される箱が変わり、少額資産の特例を使えるかどうかが決まるため、計画段階での選択が重要になります。
内装工事費の会計処理は、単なるコストではなく、未来への投資として捉えるべきです。特にパーテーションはその選択が重要です。
この会計処理の選択は、単に節税効果だけでなく、従業員エンゲージメントにも影響します。全額経費化が可能であれば、財務的なハードルが下がり、より迅速かつ柔軟にオフィスのレイアウト改善や環境整備を行えるようになります。
快適で機能的なオフィス空間は、従業員の満足度と生産性を高め、結果としてエンゲージメントの向上に直結します。適切な会計処理を通じてキャッシュフローを最適化し、その資金で従業員が働きやすい環境をスピーディに提供する。これは、内装工事費というパズルのピースを、「働き方改革」と「企業の成長」という大きな絵図に組み込む、戦略的な経営判断と言えるでしょう。
内装工事の費用は、原則として支出した年度に一括で経費計上できません。内装工事によって建物の価値が向上した場合や、使用可能期間が長期に及ぶ場合は「資本的支出」として資産計上し、耐用年数に応じて減価償却を行う必要があります。
その際には、「建物」「建物付属設備」「工具器具備品」など、内容に合った勘定科目を選んで処理を行いましょう。一方で、修繕目的の工事や少額の設備更新など、建物の機能維持を目的とした支出であれば、修繕費や消耗品費としてその年度に一括経費計上できる場合もあります。
資産担当をになう管理部門・経理部門は、工事の内容や目的を明確にし、証憑書類をしっかりと保管しておくことが重用になります。また、修繕と改良が混在する場合は、工事費を分けて処理すれば、税務リスクを軽減できます。
以上のように、オフィスの内装工事は、単なる見た目の改善だけでなく、働く環境の快適性や生産性にも大きく関わります。効率的で快適な職場づくりを目指す企業は、空間デザインの観点だけでなく、税務・会計の最適化にも目を向けることが大切で、オフィスの移転や改装を計画する際には、税務処理のルールを深く理解し、工事内容や目的を明確にした上で、適切な勘定科目と耐用年数を適用することが重要です。
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