コロナ禍を経て働き方が多様化する中、オフィスの価値は新たなフェーズに入りました。

2025年、「選ばれるためのオフィス創り」が決定的なものとなった今、2026年に向けてオフィスは単なるコストではなく、企業の成長戦略を加速させる「企業の成長エンジン」へと進化します。

本コラムでは、経営戦略の視点(採用力強化、ESG対応、イノベーション創出)と、オフィス設計の視点(機能性、コスト効率、ウェルビーイング)の両面から、2026年のオフィス内装動向を解説します。特に、内装の根幹をなすパーテーション(間仕切り)が、いかにこの成長戦略を支える「選ばれる」ための高付加価値な内装のソリューションとなるか、具体的な取り組み例を交えてご紹介します。

 

1.2025年 オフィスデザインの主要トレンド

 2025年のオフィスデザインは、これまでの「効率重視」から、「出社する価値」と「柔軟な空間の切り替え」を意識する経営者層が増えた年でした。

特に施工型パーテーションは、単なる「壁」ではなく、光を通す、音を遮る、あるいは動かせる「多機能な演出装置」としての役割が強まっています。

最新トレンドと、施工型パーテーションの具体的な活用例をまとめました。

1. ハイブリッド・フォーカス(対面とオンラインの最適化)

オンライン会議が定着した今、周囲への騒音配慮と、対面でのコラボレーションを両立させる設計が必須です。

  • 「集中」と「交流」の明確なゾーニング: 喋って良いエリアと、無音のエリアを意図的に作り出します。

2. バイオフィリック&ホームライク

「家よりも心地よい」と感じさせるため、自然光、植物、木目調、くすみカラーを取り入れたデザインが主流です。

  • ウェルビーイング: 視覚的な癒やしだけでなく、空気質や調光など、五感に訴える環境作りが重視されます。

3. フレキシブル&サステナブル

組織変更に即座に対応できる「可変性」と、環境に配慮した素材(再生樹脂やリサイクル建材)の使用が企業のブランド価値に直結します。

2025年のオフィスデザインは、これまでの「効率重視」から、「出社する価値」と「柔軟な空間の切り替え」を意識する経営者層が増えた年でした。特に施工型パーテーションは、単なる「壁」ではなく、光を通す、音を遮る、あるいは動かせる「多機能な演出装置」としての役割が強まっています。

求職者が企業を選ぶ際も、および働く条件を検討する上で、オフィス環境が占める重要度は非常に高いと言えます。単なる「見た目の綺麗さ」だけでなく、生産性、メンタルヘルス、そして企業文化の象徴として捉えられているのが現代の特徴です。その根拠をいくつかの視点から解説します。

2. オフィス環境は入社意欲を左右する重要なファクターに

 ザイマックス不動産総合研究所の調査によると、オフィス環境は入社意欲に大きく影響する要素です。特に、就職活動中の学生はオフィスに求める条件として多様な要素を重視しており、調査によると、就職活動中の学生の約7割以上が「オフィス環境が志望度に影響する」と回答しています。また、パーソル総合研究所のデータでは、働く環境(清潔さ、開放感、デスクの広さなど)に不満がある場合、離職率が高まる傾向が示されています。

企業は従業員のエンゲージメント向上を目指してオフィス環境の改善に取り組んでいます。

引用:https://soken.xymax.co.jp/hatarakikataoffice/data/column256.html

「オフィス環境」が意味する3つの要素

現代の求職者は、単に「おしゃれなカフェがあるか」とかではなく、以下の3点を総合的に評価しています。

① 生産性を高める設備(ABWの導入)

ABW(Activity Based Working)、つまり「仕事の内容に合わせて場所を選べる」環境が整っているかは大きなポイントです。

  • 集中するための「フォーカスルーム」

  • リラックスして対話できる「ラウンジ」

  • Web会議専用の「ブース」

    これらが整備されていることは、企業が社員の「働きやすさ」に投資している証拠とみなされます。

② 心理的安全性とコミュニケーション

オフィス環境は、社風を視覚化したものです。壁が少なく見通しの良いオフィスは「風通しの良さ」を、共通の休憩スペース(マグネットスペース)があることは「部署を越えた交流」を想起させ、求職者に安心感を与えます。

③ ウェルビーイング(健康経営)

近年、バイオフィリックデザイン(自然を取り入れた設計)や、人間工学に基づいた什器(昇降デスクなど)の導入が注目されています。これらは「社員の健康を大切にしている企業」という強力なメッセージになります。

ハイブリッドワーク下での問われる「出社する価値」

リモートワークが普及した今、「わざわざ出社する価値のあるオフィスか」という視点が加わりました。

視点 内容
帰属意識 リモート中心だからこそ、たまに出社した際のオフィスが魅力的であることが、会社への愛着(エンゲージメント)を維持する鍵になる。
オンオフの切り替え 自宅では集中しにくい層にとって、高品質なワークスペースの提供は福利厚生と同等の価値を持つ。
採用ブランディング SNSや採用サイトで「働く姿」をイメージさせる際、視覚的なオフィス環境は最も強力な訴求力を持つ。

オフィス環境は、もはや単なる「箱」ではなく、「企業のビジョン」や「社員への誠実さ」を映し出す鏡です。特に優秀な人材ほど、自分が最も高いパフォーマンスを発揮できる環境かどうかをシビアにチェックしています。

3.施工型パーテーションの具体的な活用例

2025年のトレンドを反映した、施工型パーテーションのスマートな使い方は以下の3点です。

① 「ガラスパーテーション」による開放的な個室化

かつてのアルミパーテーションによる「閉じられた個室」ではなく、開かれた印象を与えるガラスパーテーションが人気となりました。

  • 活用シーン: 会議室や役員室。

  • メリット: 自然光をオフィスの奥まで届けつつ、高い遮音性を確保。視線が通ることで「誰がどこで何をしているか」が分かり、孤独感を解消します。

  • 2025年の人気デザイン: ブラックパーテーションのシンプルでいながらミニマムでスタイリッシュさは依然人気で、パネルを木目調にしたり、ガラスパネルにはフォグラスシートを貼ってプライバシーとデザイン性を両立させました。

② 「吸音パネル付きパーテーション」でのWeb会議用スペースやブース

施工型でありながら、壁面自体に吸音材を組み込んだタイプです。

  • 活用シーン: オープンスペースの一角に作る「1人用Web会議スポット」。

  • メリット: 大掛かりな建築工事をせずとも、施工型パーテーションで区切るだけで、声の響かない高品質な配信環境が作れます。

  • 2025年の人気デザイン: 表面にファブリック(布地)を使用したブースを設置し、オフィスの無機質さを抑えて「温かみ」を演出いたしました。

③ スライディングウォールによる大空間の分割

レールを天井に埋め込む施工型ですが、状況に応じて壁を動かせるタイプです。

  • 活用シーン: 普段は「リフレッシュルーム」と「会議室」として別々に使い、全社イベント時には壁を収納して「大ホール」にする。

  • メリット: 固定壁を作らないことで、坪単価の高いオフィス面積を最大限有効に活用できます。

  • 2025年の人気デザイン: 木目調のスライド壁を採用し、閉めていても圧迫感のない空間を維持します。

4. 2026年のオフィストレンド予測:創造的対話に特化した「企業の成長エンジン」スペース

 2026年の働き方は、「ソロワークのための分散型」と「協業のコミュニケーション目的を持った集結型」の二極化がさらに加速します。この状況下で、オフィスを「企業の成長エンジン」として機能させるには、社員が「わざわざ出社する理由」を内装設計で提供することが最大のテーマとなります。

1-1. AI時代におけるオフィスの価値の再定義

AI搭載PC(AI PC)による業務効率化が進み、個人の事務作業時間は短縮されます。その分、今後のオフィスは「固定席の並ぶ場所」ではなく、「人間にしかできない創造的対話」に特化した空間へ再編されることが予測されます。

社員を集結させ、企業を成長させる核となる価値は、以下の二点に最大化します。

  1. 帰属意識(社会的な繋がり)の醸成: リモートワークで欠如しがちな「企業文化の継承」や「同僚との信頼構築」の場としての価値が最大化します。
  2. 偶発性(イノベーションの誘発)の創出: 予定された会議(Zoomなど)ではなく、廊下やカフェでの「立ち話」から生まれる社内共創こそが、オフィスの主目的となります。

1-2. 「選ばれる」ためのデザインと働き方

  • ハイブリッドワークの定着: 週3〜4回程度の出社を中心としたハイブリッドワークが働き方の主流となります。企業側は、従業員が理想とする働き方(週3出社を理想とするギャップ)を考慮し、「選ばれる」に値する質の高いオフィス環境を提供する必要があります。
  • ウェルビーイングの必須化: 若手だけでなく、シニア層や介護・育児中の社員など、多様な人材が働きやすいよう、ウェルビーイングに配慮した設計が必須となります。耐久性と品質を備えた自然素材や自然光の活用(バイオフィリック・デザイン)が一般化し、働く環境の質を高めます。
  • コラボレーションエリアの主役化: 全社会議、納会、外部セミナーなど多目的に使える交流空間を設計の中心に据えることが、「企業の成長エンジン」の起点となります。

 

5. 経営課題を解決する「選ばれる」戦略的空間の設計

 建設資材物価の高騰や人手不足(2025年問題)が継続する中、コストを抑えつつ戦略的なニーズに応えるため、パーテーションは以下の「高付加価値化」が必須となります。これらはすべて、オフィスを「選ばれる」ための品質と機能性向上に直結します。

2-1. 創造的対話の質を高める「音響管理」機能

社員の集中と対話を両立させるため、音響管理は戦略的空間の標準装備となります。

  • 吸音・遮音機能の標準化: Web会議の日常化による騒音トラブルを防ぐため、パーテーション自体に高い吸音性能を持たせることが必須となります。
  • 遮音性の高いツインガラス仕様: 企業の透明性を象徴するガラスパーテーションは、機密性の高い対話空間(会議室や集中ブース)においては、吸音性や秘匿性を伴った仕様が多用されます。
  • 吸音性能の数値化: 2026年に向けて、「吸音性能の数値化」に対するニーズが高まり、定量的なデータに基づいた製品選定が求められるでしょう,。

2-2. 成長を支える「ESG」と「コスト効率」の両立

企業の成長エンジン」には、持続可能性(サステナビリティ)の視点が不可欠です。

  • リユース・リサイクル設計の必須化: 内装材の選定において、再生鋼材の利用や、解体・再利用(リユース)が容易な設計が、大手企業との取引条件として重要視されるようになります。「リユース可能な環境配慮型モデル」のニーズが高まります。
  • システム化と簡易施工: 職人不足(2025年問題)に対応するため、現場での加工を最小限に抑え、短時間で組み立て可能なシステムパーテーションの需要が拡大します。これにより、改修コストの最適化と、迅速なレイアウト変更による戦略的な対応が可能になります。

 

6.【戦略的取り組み事例】「企業の成長エンジン」を最大化するオフィスの活用法

 2026年のオフィスは、「採用力」「イノベーション」「企業価値(ESG)」という三つの成長戦略に明確に結びつけられ、「選ばれる」理由を創出します。

戦略1:「選ばれる」ための採用力・ブランディング強化

戦略的活用: オフィスを企業のアイデンティティを体現する「体験型拠点」とし、人材獲得競争を勝ち抜くための強力な戦略的空間と位置づけます。

成長戦略への貢献 具体的取り組み例 オフィスデザイン・パーテーションの役割
企業文化の体現 企業の個性や理念を反映したデザインをエントランスや共有部に施す。 カスタムデザインパーテーションを導入し、ブランドイメージを印象づけ、帰属意識の醸成を促す。
多様な人材への配慮 育児・介護中の社員が利用しやすい集中ブースや休息室を設ける。 高い遮音性を持つパーテーションでプライバシーを確保し、多様な社員が働きやすいウェルビーイングに配慮した設計を実現する。

戦略2:イノベーション誘発による「企業の成長エンジン」の稼働

戦略的活用: オフィスを、AIでは代替できない「人間にしかできない創造的対話」に特化した空間として設計し、偶発的な共創(社内共創)を積極的に生み出します。

成長戦略への貢献 具体的取り組み例 オフィスデザイン・パーテーションの役割
偶発性の設計 誰もが通りがかる場所に、立ち話が生まれる交流スペースを意図的に配置する,。 吸音パーテーションを戦略的に配置し、交流の活発さを保ちつつ、他のエリアへの音の影響を防ぐ。
柔軟な共創空間 外部パートナーとの共創や全社会議など多目的に使える「コラボレーションエリア」を確保する。 システムパーテーション可動間仕切りにより、用途に応じて短時間で空間サイズを柔軟に変更し、イノベーション創出の機会を最大化する。

戦略3:企業価値(ESG)の向上と地域・社会への接続

戦略的活用: オフィスを社内限定とせず、サステナビリティ(ESG)発信の拠点として活用することで、企業の透明性と社会的責任を体現し、企業価値向上に貢献します。

成長戦略への貢献 具体的取り組み例 オフィスデザイン・パーテーションの役割
ESG情報の可視化 内装材に環境配慮型の建材を採用し、企業のサステナビリティへのコミットメントを体現する。 再生鋼材リユース可能な設計のパーテーションを選定し、内装材自体が企業のESG方針を表現するメディアとなる,。
社会との連携 オフィスの一部を外部パートナーが利用できる共創空間として開放する。 遮音性の高いガラスパーテーションでセキュリティと開放感を両立させ、地域・社会とのスムーズな接続を可能にする。

 

2026年の働き方は、「ソロワークのための分散型」と「協業のコミュニケーション目的を持った集結型」の二極化がさらに加速します。この状況下で、オフィスを「企業の成長エンジン」として機能させるには、社員が「わざわざ出社する理由」を内装設計で提供することが最大のテーマとなります。

 

まとめ:「空間の先に、人を想う。」の戦略的空間設計

2026年のオフィス投資は、企業が競争優位性を確立するための重要な手段です。「企業の成長エンジン」として、イノベーションと人材獲得を支え、「選ばれる」ための戦略的空間を構築することが、今後の経営の成功を左右します。

経営者層は投資のROI(投資対効果)を最大化するため、設計担当者は、音響管理、リユース性、簡易施工性といった高付加価値機能を備えたパーテーションの選定を通じて、この戦略的なオフィス環境を実現することが求められます。

「空間の先に、人を想う。」というパーテーションラボの運営のアイピック株式会社の戦略的空間設計とは、単に見た目を整える(デザインする)ことではなく、「その空間で過ごす人がどう変化し、その結果、組織にどのような利益(エンゲージメント向上や生産性向上)をもたらすか」という逆算の思考に基づいた設計手法も指します。

インサイト(洞察)に基づく体験設計、経営課題を解決するための機能実装・・・。

それは、「オフィスをどうしたいか」ではなく、「会社をどうしたいか」という経営戦略を空間に落とし込むことす。

 

2025年パーテーションラボをご愛顧いただきありがとうございました。2026年もパーテーションラボにどぞご期待をお寄せ下さい。

 

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