前回の投稿で、オープンオフィスの盲点。過剰な開放性がもたらす生産性の低下をレポートさせていただきました。

閉鎖的な空間から開放的な空間に移行することで、オフィスにまつわるさまざまな問題が解決するかに思われていましたが、新たな問題も発生したということ。

雑音とプライバシー性の問題。他の従業員の会話がいやでも聞こえてしまう。集中したい人はヘッドホンを装着するのも見慣れた光景で仕事をするようになり、結果コミュニケーションのほとんどがEメールかチャットに移行。オープンオフィス導入後、(業務内容や役割によっては、)従業員の生産性は低下したことが確認されたということです。

 

1.コロナ禍が変えたニューノーマル時代の働き方。

 新型コロナウイルスによって、いまだ多くの企業が従業員のテレワーク移行を余儀なくされました。

そして、業務の内容によっては在宅でも可能なことがわかってきました。しかし生産性の低下や業務管理などの課題がクリアできず、引き続きテレワーク対応を進める企業もあれば、元の「オフィスに出勤するスタイルに」戻った企業もと、テレワーク実施率は50%前後で推移・定着しつつあるという見方もあります。

多くの企業にとっては、感染対策のために仕方なく対応したのが本音かもしれませんが、テレワークの実施によって働き方に関して多くの発見や発想の転換がありました。テレワークだけではなく、オフィスの価値とありかた、そこでの働き方についても考え直すきっかけとなったのです。

 

2.『ABW』とは。

 コロナウイルスによって、働き方改革の影響もあり、在宅勤務やテレワーク、ノマドワーキングなど、日本でも多様な働き方が急速に浸透するようになりました。

そんな形態のひとつが、『ABW』です。

 

ABWとは、Activity Based Working(アクティビティ・ベースド・ワーキング)の略

一言でいうと、「時間」と「場所」を自由に選択できる働き方のこと。

 

1990年代から、ABWの創始者としてVeldhoen + Companyがオランダの企業に対してABWの導入支援をしたのが起源とされ、2010年代後半に日本に伝わってきたということです。ABWとは、自己裁量を最大化し、ワーカー自らが働き方を自律的にデザインする、総合的なワークスタイル戦略でもあるということです。

ワーカーが、仕事内容に合わせて仕事を効率よく進められる「時間」「場所」を自由に選択できる働き方。

たとえば作業に集中したい場合は周囲から邪魔されないスペースで、逆に雑談を交えて作業や企画提案をしたい場合は同僚が集まっている空間にというふうにフレキシブルに場所を選んで働くことができます。

どこで働くのかを「所属」ではなく、「アクティビティ(業務内容)」によって自らの判断で考え選択します。

 

「自らの判断で考え選択」

・・・早速、日本人には、特に苦手そうな働き方のような気がしてきました(汗)

 

3.ABW、メリットとデメリット。

 ABWは、生産性向上や従業員の満足度アップなど、会社にとってさまざまなメリットが期待できると言われています。

一方でABWならではのデメリットもあると言われています。それらは、「管理者視点」と「従業員視点」各々の観点からありそうです。

 

ABWのメリット

 

1.生産性が向上する

そのときどきによって最適な環境で仕事ができるため、業務効率のアップが望めます。

2.オフィススペースの有効活用により、コスト削減につながる

社員が仕事をしやすいと感じる場所を選ぶため、「使われないスペース」は無駄なオフィスコストのカットに。固定席の縮小が伴えば、オフィス内のセキュリティ対策もしやすくなる

3.ワークライフバランスの実現

従業員の仕事と生活の調和が実現しやすくなる。少子化問題と高齢化社会の日本では、育児や介護との両立ができたりとそのときどきの自分に合った働き方を選べ、従業員満足度が向上。

4.従業員の満足度とモチベーションのアップ

上記に起因し、仕事への満足度の向上が期待できる。それは仕事のモチベーションにも寄与すると考えられる。

5.働きやすいオフィスの実現により、優秀な人材が集まりやすくなる

就業整備が進み、従業員の満足度も上がれば、自ずと働く人にとって魅力的な会社に。

 

ABWのデメリット

 

1.上司が部下を管理しづらくなる

働く場所や時間を固定化しないことで、上司が部下の働き方を管理しにくくなる。勤務時間や勤務態度を重視する評価方法ではなく、成果主義の評価方法に切り替えざるを得なくなる。

2.コミュニケーションの低下につながる

部署や会社全体で従業員がコミュニケーションを取る機会を意図的に設け、会社への帰属意識の希薄化を防がないと、孤立化に陥りやすい。

3.従業員や備品の位置を把握しづらい

誰がどこにいるかを把握できないことで、様々な”シェア”ができなくなることの弊害。

4.ペーパーベースの会社には不向き

働く場所を選ばないので、ペーパーレスでも可能な仕事の進め方が求められる。情報や資料のデジタル化と、それに伴うセキュリティ体制の構築が不可欠。

5.考え方がうまく浸透しなければ、結局働き方が変わらない場合も

改善事は何でもそうですが、目的をしっかり共有しておかないとうまく浸透しない。ABWは自主性や自立性に依るところが大きく、この点が欠けていると、結局効果が得られないといった状況になりかねない。ベースとしての自主性や自立性、その評価基準がまず求められる。

 

4.すべての組織に共通の効果的ABWは存在しない

 「自由な選択肢を与える働き方」というアクティビティ・ベースド・ワーキングの成功には、「生産的」や「効率的」、これぞ「仕事だけではない、プライベートも大切にできる時代にあった働き方」といったプラスのイメージを抱く従業員。

一方、「管理の限界」や「怠慢」、「本当に生産性が上がるのか?」といったマイナスのイメージを抱く経営者側。

しかし、実際にはそんな浅いイメージでは収まらない、高度な意識変革と行動改革が求められそうです。言うならば従業員一人一人の”プロ意識”と”真の参加意識”が不可欠。

加えて、社内の情報コミュニケーションであるインフラのDXも重要といえます。

 

 

5.まずは『オフィス内ABW化』のレイアウト

 

 パーテーションラボが共感するのは、「アクティビティ・ベースド・ワーキングは働き方そのものではなくフィロソフィーである」、という意見です。

コミュニケーションや情報共有のインフラ整備、ペーパーレース化、セキュリティ対策といったABW成功のための障壁を前にして、「ABWも取り入れた働き方改革」をニューノーマルとするのには、躊躇するのも理解できるところです。

しかしながら、生産性やコスト削減実現の可能性が高いABWを、「従業員の意識と行動改革」の助長、引いては避けて通れないDXのきっかけと考えることができるのであれば、価値のある「オフィスと働き方戦略」ではないか、と見方も変わってくるのではないでしょうか。

前回のコラムで、現代の生産性の高いオフィスとは、「十分な広さがある個室」を備えたワークスペースが最新のオフィス空間と示させていただきました。

個々人のワークスペースの広さを担保したうえで、有機的な創造や成果を生み出すためのコミュニケーションや、情報発信を成り立たせるための人と人の連携や協調といった、言うならば、「個人能力を尊守した次は、コンビプレーやチームプレイが成り立ちやすい空間と行動様式の確立。」その最適化の「公式」はまだまだ大多数の企業にとってそれぞれの課題がありそうです。

そして、環境が人の行動を変えるのであれば、オフィスの間仕切りを現代にあった仕様に変えること1つとっても、行動改革に寄与させることが可能であると考えます。今のオフィスゾーニングや仕様のリニューアルには、ポジティブなアフターコロナの企業の成長戦略と、密接であることをあらためて考えてみるときです。

 

「別件があるため、そのミーテングには参加できません。」と、いう従業員もいれば、

「別件があるため、そのミーテングには参加できないので、事後報告をお願いいたします。」と、いう従業員もいれば、

「別件があるため、そのミーテングには参加できないので、遠隔視聴やVIDEO録画を見て意見出しします。」と、いう従業員もいます。

 

オンライン会議がノーマル化したといっても、いくら便利でローコスト化なると言われても、自分の身の周りの世界がそう変わっていなければ、行動は急速に変わりません。

ABWの成否に介在する本質は、まさに「どのような環境下であったとしても、より良く仕事をしたい。」という志なのは間違いないでしょう。そして、全体の最適化というものは、隣人や環境下で徐々に浸透していくのも実態です。

まずは『オフィス内ABW化』のレイアウト変更、オフィスリニューアルで自主性を伴う働き方の意識改革と従業員満足を並行してトライアルしてみてはいかがでしょうか。

 

"ハイパーテーションとローパーテーションの違い オフィスの新たなスペース確保や、プライバシー保護を目的として導入されるのがパーテーションです。パーテーションは既存の空間に簡単に導入できることから重宝されています。 パーテーションには素材や性能の違いはありますが、大きく2つの種類に分けられます。それがハイパーテーションとローパーテーションです。それぞれの特徴として、ハイパーテーションは床から天井まである物を指し、床と天井をそれぞれ固定するタイプとスライド式があります。ハイパーテーションは防音性能も高く、会議室や来客室など、プライバシー保護を目的で使われます。ただその場所に固定するため、スライド式だとしてもレイアウト性は低いです。施工の必要があり、ハイパーテーションは建造物の一部と見なされることが多く、個室と判断された場合には排煙窓や煙感知器、スプリンクラーなどの設備の設置に加えて、消防署に届出を出す必要があります。 こういった手間を惜しむのであれば、ローパーテーションがおすすめです。ローパーテーションは、高さが天井までなく、1から2メートル前後のサイズになります。簡単な工具で施工できる手軽さが魅力です。ハイパーテーションに比べて防音性などでは劣りますが、施工などの依頼をする必要がなく簡単に設置でき、移動も簡単なため手軽にレイアウトを変えることができます。臨時で商談スペースや待合室を作ることも可能です。また、デスク上の仕切りや簡易的な個室作りとしても使われています。 ポイントを抑えて選ぶローパーテーションの決め方 ローパーテーションを選ぶなら、目的を明確にしてから選ぶ必要があります。一括りにローパーテーションと言っても、需要に合わせて、多種多様な物が販売されていますから、よく知らない状態で購入すると、思っていたのと違う物だったということもあります。購入後に後悔しないためにも、比較するポイントはしっかりと押さえておく必要があります。 まず、比較ポイントとして素材を比較します。素材は何が使われているのかによって使用用途が大きく変わります。例をあげると、素材が布の場合はカラーバリエーションが豊富なため、インテリアに合わせたデザインを選びやすいです。画鋲などを使用し、メモなどを掲載できるタイプもあります。 スチールの場合は重厚感のあるデザインが特徴です、光を反射する性質があるため空間全体が明るくなることから、設置による圧迫感を軽減する効果があります。また、マグネットを貼り付けることが可能で、マグネット式の時計や小物入れを設置するなど、幅広い用途で活用できます。この他にも半透明な物などはプライバシーを守りつつも日光など外の明るさを取り入れることができるといったように特徴がそれぞれにあります。 高さについてですが、高さは座るか立つかによって変わってきます。デスクワークなど座っていることが多い場合なら、120から150センチが適切とされています。ミーティングなどに使用することが多い場所で立つことあるのであれば160から190センチが適切でしょう。選ぶ際はメジャーなどを使い、使用時の状況を想定しつつ、事前に計測しておくことで適切な物を選ぶことができます。このように、どういった場面で、何を重視するかを明確にしておくことで、選ぶ際に迷いが少なくなりますし、後悔しないためには必要なことですので考慮しておきましょう。 様々な場面で活用できるおしゃれなパーテーション パーテーションの役割は間仕切りだけではなく、インテリアとしても大きな役割を担っています。そのデザインの幅は広く、素材を活かしたシンプルなデザインをはじめ、モダン、カジュアルなデザインの物まで、多種多様な物が販売されています。 そのため、元々のインテリアに合わせやすく、自宅やお店、オフィスなどで導入されることが多いです。その主な用途として、オフィスでは個室作りやデスクワーク等でのプライバシー保護を目的に使われ、自宅では家族と部屋を分けたり、視界を遮る目的で使われています。お店で利用される場合はバックヤードを隠したり、着替えるスペースを確保するために活用されています。 また、ローパーテーションなどの固定しないタイプの中には折り畳めるタイプも多く、持ち運びや収納ができるため、季節やイベントなどに応じて、インテリアのコンセプトを変えるといったこともできます。 導入する際には注意点があります。パーテーションはデザインの面積が広いことから、空間に与える影響が大きいインテリアです。そのため、パーテーション一つで空間の印象が一変することもあります。インテリアにこだわりがあるのであれば、事前に部屋のテーマや方向性を決めてから選ぶことが大切です。特に企業のオフィスや店内での印象は重要です。その企業のオフィスや店内のインテリアはその企業を印象づける要因となり、ブランディングに関わる場合もあります。社員の業務意欲にも繋がる大切な要素になりますから、導入する際は機能面はもちろん、デザイン面にも気を使いましょう。"

 

パーテーションラボでは、現代の働き方にあった大小の空間間仕切りのご提案を可動性の高い間仕切りのソリューションパーテーションを用いて、柔軟性のある『戦略的オフィス作り』のお手伝いをさせていただきます。

是非ご相談ください。

 次回は、昭和~平成~令和、時代とオフィストレンドの振り返りを考察してみようと思います。