オフィス環境を整えるに当たり、床の上に散らばった配線をすっきりさせたいと思った経験がある方もいるでしょう。

パソコンのケーブルや電話線など、オフィスにはさまざまな配線があります。配線が床の上に散らばっている状態だと、オフィスの見た目が悪いだけではなく、社員の足にまとわり付いて事故の原因になる可能性もあります。

さまざまな配線を整理整頓してオフィスの機能性を上げ、社員が床を気にせず移動できる環境にするために「OAフロア」の導入を検討してみるのがおすすめです。

本記事では、OAフロアを導入するメリットや選び方のポイントを詳しく解説します。OAフロアの導入を検討している方は、ぜひ記事の内容を参考にしてください。

 

1.OAフロアとは

 OAフロアは「オフィスオートメーションフロア」の略称で、配線を収納する目的の二重床のことです。「フリーアクセスフロア」とも呼ばれます。

オフィスの床にパネルを設置して、床とパネルの間のスペースに配線を収納する方法が一般的です。

 

 

オフィスにOAフロアを導入するメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。ここではOAフロアの主なメリットを6つ紹介します。

 

配線の整理整頓ができる

OAフロアを導入する一つ目のメリットは、配線を整理整頓することで、快適なオフィス環境を実現できることです。

導入すると床下のスペースに配線を通せるため、複雑な配線や大量のケーブルを床下に隠した状態にできます。そのため配線の管理がしやすくなります。

オフィスのレイアウト変更がしやすくなる

オフィスにOAフロアを導入すると、配線の位置を気にせずにレイアウト変更ができるのもメリットの一つです。

OAフロアのパネルは柔軟性が高く、自由に組み合わせられます。そのため、社員の働きやすさを重視したオフィスのレイアウト作りが可能です。レイアウト変更後は、配線を床下から取り出すだけで簡単に再配置が完了します。

オフィスのデザインがすっきりする

オフィスのデザインがすっきりするのも床をOAフロアにするメリットの一つです。

前述の通りOAフロアは配線をまとめて収納できるので、オフィス全体がすっきりとした印象になります。そのため、よりデザインやインテリアにこだわったオフィス作りが可能になります。

また床の上に配線のケーブルがないので、社員の足に絡まる心配もありません。配線が床下に収まるとコードの隙間のホコリ掃除をする必要もなくなるため、オフィスを清潔に保ちやすくなることも良い点です。

メンテナンスが容易になる

OAフロアを導入するメリットの4つ目は、メンテナンスが容易になることです。

床下で配線がきれいにまとまっていれば、配線に関するトラブルが発生しても容易にアクセスして修理ができます。

またOAフロアのフロアパネルに汚れや破損が生じた場合は、新しいパネルに交換するだけで簡単にメンテナンスができるのも魅力です。

配管工事が不要になる

OAフロアを取り入れると、配管工事が不要になるのもメリットの一つです。

オフィスの配線を配管によって管理する場合、ケーブルや電話線を収容して保護する「電線管」を設置する必要があります。OAフロアにすることで、床の下でケーブルや電話線を保護できるため、大掛かりな電線管の設置や配管工事が不要になります。

騒音対策につながる

OAフロアを導入するメリットの6つ目は、騒音対策につながることです。

OAフロアはオフィスの本来の床の上にフロアパネルを敷く二重構造になっているため、防音効果が期待できます。社員が仕事に集中しやすい静かなオフィス環境を求めている方は、OAフロアの下に防音材を敷いて遮音効果をより高めることも可能です。

 

 

2.OAフロアの種類

 OAフロアには置敷タイプと支柱タイプの2つの種類があります。ここでは、2つのタイプを詳しく解説します。

 

置敷タイプ

置敷タイプは、支柱とフロアパネルが一体になっている物です。置敷タイプには置敷式簡易OAフロアと置敷式溝配線OAフロアの2タイプに分けられます。

置敷式簡易OAフロアは、樹脂やプラスチックなどで作られたパネルに支柱(固定脚)が付属しているタイプです。一方で置敷式溝配線OAフロアは、パネルに支柱(固定脚)が付属しておらず、溝に沿って配線を行うタイプです。

支柱タイプ

支柱タイプは支柱とフロアパネルが別になっている物で「床高調整式」という別名もあります。

置敷タイプと異なり、支柱タイプは現地で支柱の高さ調整が必要です。オフィスに合わせて支柱の高さを調節・固定したらフロアパネルを載せて仕上げていく方法です。

 

 

3.置敷タイプのメリット

 置敷タイプのOAフロアを選ぶと、どのようなメリットがあるのでしょうか。

一般的に、置敷タイプはオフィスに導入しやすいスタンダードなタイプとして知られています。置敷タイプの施工工事は、支柱の高さが固定されているパネルをオフィスの床に敷き詰めて施工するため、高さの調節を行う手間がかかりません。そのため支柱タイプに比べて短期間で導入しやすく、工事にかかる人件費やパネルの購入費を削減できます。

置敷タイプのパネルはOAフロアの導入費用を抑えたい方や限られた予算で新規開業をする方、コストを抑えて既存のオフィスのリフォームを行いたい方などにおすすめの方法です。

 

4.置敷タイプの注意点

 一方、置敷タイプは支柱タイプよりも耐荷重性や防音性に劣る場合があります。

一般的に置敷タイプのパネルは樹脂で作られた物が多いです。そのため、施工後に耐荷重を超えるオフィス家具などを載せると、パネルが沈んで配線を傷めてしまう可能性があります。

また置敷タイプはフロアパネルと支柱が一体化しているので、床下のスペースの高さが変更できません。オフィスの配線量が多いと床下に収まりきらない可能性もあるため注意が必要です。

さらに、置敷タイプのパネルは基本的に床下のスペースが狭めなので、防音性が低くなることも注意点に挙げられます。

 

5.支柱タイプのメリット

 支柱タイプは、耐久性に優れるなど多くのメリットがあります。

支柱タイプは床に立てた支柱のフレームにフロアパネルをはめ込んで使用するので、置敷タイプよりも耐荷重が大きいです。そのため、重いオフィス家具などが多いオフィスに向いています。

また支柱タイプは床下のスペースの広さを調節できるので、ケーブルや電話線などの配線量が多い大型オフィスにもおすすめです。さらに支柱の高さを自由に調整できるので、オフィスの床の凹凸や傾斜があれば平らにすることが可能です。そのため、比較的どのような床にも施工しやすいメリットもあります。

 

6.支柱タイプの注意点

 支柱タイプの注意点には、施工コストの高さなどがあります。

置敷タイプと比較すると施工工事の期間が長く、専門的な技術が求められます。そのため、工事を行うスタッフの人件費や資材の費用、工事の期間に伴うコストが割高になるので注意が必要です。

また支柱タイプは、支柱の高さ分だけ床の位置が上がります。そのため、天井が低いオフィスの場合は部屋の面積が狭くなったり天井を近くに感じたりして、圧迫感を覚えることもあります。

 

7.OAフロアを選ぶポイント

 OAフロアのタイプを選択する際は、どのようなポイントに注目すれば良いのでしょうか。ここではOAフロアを選ぶ際に役立つポイントを5つ紹介します。

 

施工条件

OAフロアを選ぶポイントの一つは、オフィスの施工条件です。

例えば置敷タイプのパネルは、オフィスの床に大きな凹凸や傾斜があると施工が難しくなります。この施工条件を知らずに置敷パネルを発注してしまうと、床を平らにする下地処理が発生し、時間やコストがかかってしまいます。

着工した後に施工業者とのトラブルを回避するためにも、オフィスの施工条件に合ったOAフロアを選ぶようにしましょう。

施工期間や費用

OAフロアを選ぶ際は、施工期間や費用に注目して選ぶこともポイントです。

施工期間や費用は、OAフロアを設置したい床面積やパネルのタイプ、床の平坦性や配線量などが影響してきます。

施工期間が短い場合や費用を抑えたい場合は置敷タイプを選ぶのが無難ですが、オフィスの施工条件によっては支柱タイプの方が良いケースもあります。よりオフィスに適切なOAフロアを選べるよう、総合的な判断をしましょう。

配線方法や配線収納容量

配線方法や配線量もOAフロアを選ぶポイントの一つです。

OAフロアに配線を収納する方法や収納量はオフィスによって異なります。例えば、固定電話の数が少ないオフィスや無線LANを導入しているオフィスは配線量が少なくなり、大きなサーバールームを持つ場合は配線量が多くなるなどです。そのため、オフィスが持つ特徴やOAフロアを設置する部屋のニーズに合わせた配線ができるようにしましょう。

耐荷重

OAフロアを選ぶポイントの4つ目は耐荷重です。

先述の通り、置敷タイプは支柱タイプよりも耐荷重が小さいです。そのため既存のオフィスにOAフロアを導入する際は、オフィスにあるソファーやキャビネット、コピー機などの家具や自動販売機などの重さを確認し、耐荷重に合ったOAフロアを選ぶようにしましょう。

フロアの材質

材質もOAフロアを選ぶ際のポイントの一つです。

一般的に、フロアの内部は樹脂やコンクリート、スチールなどの材質が使われています。それぞれの材質の特徴は以下の通りです。

  • 樹脂製:レイアウト変更を頻繁に行うオフィスに向いており比較的安価で施工できるのが特徴です。しかしコンクリートやスチールと比べると、耐荷重が小さく、社員の足音が響きやすい特徴もあります。
  • コンクリート:防音性に優れ、社員の足音を軽減できるのが特徴です。オフィスの通信や機械の動作に影響を及ぼすノイズを防ぐ効果もあるため、サーバールームのフロアに適しています。樹脂製やスチールに比べると比較的高価です。
  • スチール:フロアの歩きやすさを重視する場合はスチールがおすすめです。配線スペースが広いので配線量が多いオフィスに向いています。

またOAフロアの表面にはタイルカーペットが使われています。タイルカーペットは一枚単位から敷き替えができるため、オフィスのレイアウト変更や設備の追加時も柔軟に対応できるのが特徴です。

 

8.OAフロアの第三者認証制度

 OAフロアは社員が日々働く足場となります。そのため、OAフロアを選ぶ際はフロアの安全性にも配慮をしましょう。

OAフロアの品質の安全性は「第三者認証制度」を利用すると確認できます。具体的には「建築材料・設備機材等品質性能評価事業」と「JAFA性能評価認証制度」の2つの制度があります。どちらの制度も、OAフロアが公的な機関から認証を受けた製品かどうかの確認が可能です。

建築材料・設備機材等品質性能評価事業では、評価対象の材料/機材の品質・性能や品質管理、製造管理、納入体制、アフターサービスなど、さまざまな観点で審査しています。評価委員会によってOAフロアの品質が適正だと判断されると、国土交通省への報告を経て評価書が発行される仕組みです(※1)。

JAFA性能評価認証制度では、JISが定めた「フリーアクセスフロア試験方法(JISA1450)」に基づいてOAフロアの性能評価が行われます。この試験によって性能が認証されたOAフロアには、JAFA認証マークが付与されます(※2)。

どちらも厳しい審査基準を経て認証される制度なので、OAフロアの性能を見極める参考にすると良いでしょう。

※参考1:一般社団法人公共建築協会.「材料・機材評価」.(参照2024-07-18).
※参考2:JAFAフリーアクセスフロア工業会.「制度について」.(参照2024-07-18).

 

9.まとめ

 オフィスにOAフロアを導入すると、配線の整理整頓や社員の事故防止、オフィスのレイアウトの自由化、見た目の改善など、さまざまなメリットが得られます。

OAフロアには置敷タイプと支柱タイプの異なる施工方法があります。それぞれのOAフロアに使われる資材の特徴や施工方法、コストなどの違いを正しく理解して、導入したいオフィスに合った物を選んで施工するようにしましょう。

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