オフィス内外ではさまざまな音が発生します。従業員が集中して勤務できるような空間にするためには外部からの音を遮断し、内部の音が外に漏れることを防ぐ、防音対策が必要です。

オフィス内に会議室などの部屋を設ける際は、部屋を仕切るパーテーションの設置によって防音対策をしようと考える方もいるでしょう。

ただしパーテーションといってもさまざまな種類があり、防音対策に向いている素材を選ぶことが重要です。 そこで本記事では、オフィスの防音対策が必要な理由を解説し、防音対策に適したスチールパーテーション導入時に意識すべきポイントを紹介します。

記事の内容を参考に、防音対策にスチールパーテーションをご検討してみてください。

 

1.オフィスに防音対策が必要な理由

 オフィスの防音対策ができていないと、さまざまなトラブルにつながる可能性があります。

まずはオフィスに防音対策が必要になる理由を3つ解説します。

 

執務エリアや会議室・応接室で気になる、他の会話や電話の音

多数のスタッフがいる執務エリアでは、会話や電話の音が気になって、仕事に集中できないことがあります。コロナ以降では、Web会議中に周囲の雑音が入り込み、相手の声が聞き取りづらいこともあります。

会議室や応接室では、会話が廊下まで丸聞こえで、情報漏洩が心配なこともあります。また、会議室で声が反響して、聞き取りづらい場合もあり、コミュニケーション障害は、ワーカーのパフォーマンス低下を起こしかねません。

音漏れによる情報漏えいが起こり得る

音漏れの問題は、情報漏洩、プライバシー侵害など、さまざまな企業リスクもはらんでいます。音機密情報を外部の第三者に悪用されると大問題に発展する可能性があります。オフィスで扱う情報には、自社製品やサービスに関する機密情報以外にも、顧客や従業員の個人情報などが含まれます。

例えば会議室の壁に防音効果がなければ、会議をしていても周囲に人の気配を感じると、音漏れのリスクを感じて従業員が話すのをためらってしまう事態も起こり得るでしょう。

Web会議などで声が反響する

防音対策がなされていない環境でWeb会議を行う場合、ハウリングによって声が聞き取りづらくなることがあります。例えば自分のマイクに音を乗せるときに、自分のスピーカーから発される相手の音や周囲の音も拾ってしまうと、相手がスピーカーから音声を出力する際に耳障りな金属音が発生する場合があるのです。

壁に音が反響して跳ね返ってきた自分の声が聞こえるハウリングに悩まされる場合もあります。オフィスに防音対策を取り入れていれば、音声機器の過剰反応を防ぎ、スムーズなコミュニケーションが実現するはずです。

また騒音が大きいと、従業員同士の会話の声が通りづらくなるため、業務の円滑な進行を妨げるかもしれません。Web会議で自分の声と騒音が同時にマイクに乗ってしまい、相手に声が聞こえず話が進まないときもあります。

機械などの騒音による悪影響が発生する

工場内や隣接する場所に事務所があるようなオフィス環境の場合、壁に防音効果がないと、外部からの騒音がダイレクトに伝わり、社内が騒がしくなるでしょう。騒がし過ぎて従業員が業務に集中できない環境であれば、パフォーマンスに影響を与え、生産性の低下を引き起こします。このような高ストレスの環境では、従業員が体調を崩す可能性もあります。

 

2.オフィスで音漏れが起こる原因

 さほど大きな音が出ているわけではないにもかかわらず、オフィスで音漏れが生じるときはオフィスの内装構造に問題があるのかもしれません。

構造によって室内の音声が外部に漏れ出るときの原因について解説します。

 

隙間によって音が通過する

オフィスで音漏れが起こる際は、オフィス内の隙間から音漏れが起きていることがあります。空気の通り道ができるため、音も一緒に伝わってしまい情報漏えいを引き起こします。 オフィスにおいて、ドアや窓の隙間、OAフロアの床下、天井裏など隙間ができる場所はさまざまです。

単に扉を閉めれば音漏れを防げるというわけではなく、換気扇や空調設備の接続口から音漏れが起きている場合もあります。

床や壁の薄さにより音が伝播する

音は振動とともに伝播する性質も有しています。床や壁の強度が十分ではなく、薄い素材を使っていれば、その振動により外部に音が漏れ出るリスクを考慮しなければいけません。 足音や椅子を引く音のように床面と近い位置で発生した雑音は振動によって伝わりやすく、階下の利用者にとって騒音となり得るものです。

他の素材と比べて遮音性が低い木造建築の他、鉄筋コンクリート造のオフィスでも振動による伝播は発生します。

 

3.オフィスで防音対策を行うべきエリア

 オフィスでは優先的に防音対策を施すべきエリアがあります。

それは企業の方向性を決める重要な事項について話し合われる場所や、個人情報を扱う場所です。具体的な3つのエリアについて、防音対策を重視すべき理由を解説します。

 

会議室(ミーティングルーム)

 とくに社内外、双方へ秘匿性を要する会話を執り行う会議室には、防音対策が必須です。機密情報の漏えい防止はもちろん、会議中の話し声が隣接する空間の騒音と化してしまわぬよう、防御する意義もあります。

会議室と執務スペースが壁一枚を隔てた構造の場合、そこで行われる議論が聞こえてくると、仕事に集中できなくなることもあるでしょう。企業活動に及ぼす影響の大きさを考えると、会議室は優先的に防音対策を施すべきスペースだといえます。

スチールパーテーションのオフィスの会議室

 

社長室・役員室

社長室や役員室にも入念な防音対策を施し、部屋の外に音が漏れない構造が望まれます。 社内の重要事項について話し合う社長室での会話は、企業にとってトップシークレットです。事業計画や製品のアイデア、役員人事などに関する情報が漏えいすれば、ビジネス上の優位性はなくなります。

社長室の防音対策を強化することは、従業員が集中できる環境を作るためにも重要です。重役同士の会話が日常的に聞こえてくる環境では、気が散ってしまう恐れがあるため、優先的に防音設備を設けましょう。

スチールパーテーションの役員室

 

応接室

社内外のさまざまな関係者が利用する応接室も、防音対策を施す必要がある空間です。顧客との商談の内容が外部に漏れてしまう環境では、安心して仕事の話ができません。情報漏えいによって取引先に実害が生じていれば、既存顧客を失う事態にもつながる可能性があります。

また応接室の防音対策が不十分だと、隣接する空間からの音が聞こえてきて相手の話が聞こえず、打ち合わせがしづらくなるかもしれません。打ち合わせをスムーズに進行するためにも、外部の音を遮断する工夫が必要です。

スチールパーテーションのオフィスの応接室

 

4.オフィスパーテーションでの防音対策

 一口に防音対策といっても、具体的な方法は、外部からの騒音を遮断し室内音が外に流れ出ることを防ぐ「遮音」と、壁面に反射する音波を吸収して反響を防ぐ「吸音」に分かれます。片方だけでは不完全であり、両方とも実施することで十分な防音対策となるのです。

遮音・吸音の両方を含む防音対策を実施するには、薄型の壁面で仕切りを設けるパーテーションの活用がおすすめです。天井までふさげるタイプのパーテーションでスペースを囲めば、社長室や会議室を丸ごと防音対策できます。

天井までの高さがあるパーテーションには、欄間(らんま)と呼ばれる天井とのスペースを設けるタイプと設けないタイプがあり、防音性を高めたい場合は天井との隙間をなくし、部屋を密閉する欄間クローズタイプのパーテーションを選ぶのが良いです。

 

5.防音対策にはスチールパーテーションがおすすめ

 パーテーションの材質には、スチールやガラス、アルミなどがあります。

防音対策をするなら防音性や遮音性に優れたスチールパーテーションの導入がおすすめです。 スチールパーテーションは鋼板パネルを重ねた構造で、厚みがあるため遮音効果が高まります。

パネルの間に吸音材(ロックウールやグラスウールなど)を充填する仕様に変更すれば、さらなる防音性の向上が実現します。

また、耐火性能にも優れ、防火基準が厳格な構造物でも使える点も魅力です。

防音対策を優先的に行うべき社長室や応接室には、遮音性だけではなく高級感のあるデザインが求められるでしょう。継ぎ目が目立たないフラットなデザインのスチールパーテーションは、防音性もデザイン性も重視したい場面におすすめです。

 

6.スチールパーテーション導入時のチェックポイント

 防音効果が期待できるスチールパーテーションの導入の際も、床や天井の構造を考慮し、問題なく施工できるか事前に確認調査が欠かせません。

施工型パーテーションを導入する際の4つのポイントを紹介します。

 

消防法や建築基準法に抵触する可能性がないか

施工型パーテーションの設置において、欄間クローズタイプのパーテーションを設置する場合は、消防法や建築基準法の規定が適用されるため注意が必要です。それぞれの法律が適用されるのは、欄間クローズタイプのパーテーションで仕切られた空間が、法律上では新しい部屋だと判断されるためです。

消防法では火災時に煙が広がる事態を防ぐため、消火設備の設置基準が設けられています。消火設備ごとにパーテーションとの距離が定められているので、パーテーションの設置場所と消火設備の位置関係を確認しましょう。また工事の7日前までに「防火対象物工事等計画届出書」を、使用開始の7日前までに「防火対象物使用開始届出書」を提出しなくてはいけません。

さらには建築基準法でも、災害時の避難経路を確保する目的から、パーテーションの設置基準が設けられています。例えば部屋の床面積が200㎡を超える建物の場合は、部屋と部屋の間に160cm以上の通路幅が必要だと定められています。 パーテーションの設置場所によっては、法律の規定に抵触する恐れがあります。法規制のルールは細かいため、早めに施工会社や管理会社に相談し、意図せぬ違法行為を起こさないよう注意しましょう。

※参考:e-Gov法令検索.「消防法」 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC1000000186 (参照2024-04-26).

※参考:e-Gov法令検索.「建築基準法」 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000201 (参照2024-04-26).

照明器具・空調とぶつからないか

施工型パーテーションを導入する際は、天井面の仕様もチェックが重要です。パーテーションを設置する箇所に照明器具や空調設備がないか、事前の確認が必要です。もし接触する可能性があれば、一度配置を見直しましょう。

その上で計画通りにパーテーションを配置したい場合、次に挙げる天井設備の移転ができるかどうかをチェックしてください。

天井設備の移転ができるかどうか

欄間クローズタイプのパーテーションを導入する際は、先述の通り照明や空調設備の移設が必要になる場合があります。しかし天井の構造によっては、設備の移設ができないケースがあるので注意が必要です。一般的にオフィスの天井は次の3タイプに分かれます。

  • 従来工法天井:ボードを組み合わせて施工する方式
  • グリッドシステム天井:下地材で構築したフレームに照明器具や空調設備をはめ込む方式
  • ライン型システム天井:上地材と照明器具、空調設備を一つにまとめて施工する方式

このうち従来工法天井は天井設備を動かすことが難しく、レイアウト変更が制限される場合があるため、導入を検討するならば施工会社や管理会社に確認が必要です。賃貸オフィスの工事を行う場合、工事区分によって業者選定の自由度や費用負担の有無の扱いが異なるためです。

なお賃借期間中に工事を実施した箇所は、原則として退去時に原状回復が必要です。工事後にしたがって今後オフィスを移転する際には、原状回復費用の負担が生じることを念頭に置かねばなりません。

エレベーター搬入の可否

2階以上のオフィスに設置するパーテーションの寸法や重量によっては、エレベーターを利用した搬入が認められない場合があります。エレベーターが使えなければ、高所作業車を用いた運搬作業を検討しなくてはいけません。

エレベーターを使用できるビルでも、破損防止のため、エレベーター内の間口や壁、床をガムテープやマスキングテープで養生する必要がある場合があります。事前にオフィスの仕様と搬入制限をビルの管理会社などに確認して、パーテーションを搬入する方法を決定しましょう。

 

7.まとめ

 社外秘の情報を外部へ漏らさないためにも、オフィスの防音対策は必要です。

オフィスでは機械の騒音や音漏れによる情報漏えいのリスクに備えるため、防音対策が必要です。特に重要な会議や経営判断を行うミーティングルームや会議室、顧客との打ち合わせに用いる応接室では、重点的に防音性能を強化しなくてはいけません。 遮音性を重視して部屋を作る場合は、スチールパーテーションの使用が適しています。

また防音性を高めるためには天井までの高さがあり、欄間を閉じるタイプのパーテーションを導入するのがおすすめです。ただし欄間クローズタイプのパーテーションの設置には、さまざまな注意点があるので注意しましょう。 防音対策にパーテーションを導入するに当たり、パーテーションの種類や設置場所などで悩む場合はプロに相談するのがおすすめです。

パーテーションラボはさまざまなパーテーションを扱っており、お客さまのオフィスに合った製品をご提案します。パーテーションに関する疑問や不安があるならば、ぜひパーテーションラボにお問い合わせください。

スチールパーテーションの設置工事ならばパーテーションラボへお任せください。高い耐久性と堅牢性、フラットで美しい壁面。不燃性と遮音性に優れ、重厚な高級感が特徴です。