欧米と日本では文化や考え方、価値観が異なるためか、オフィスのレイアウトにも大きな差が見られます。それぞれに特徴がありますが、近年では企業の労働環境を大幅に見直す「働き方改革」の推進にともない、効率を重視した欧米のオフィスレイアウトを取り入れる国内企業が増えてきています。
 
今回は欧米と日本のオフィスレイアウトの違いを紹介するとともに、それぞれのオフィスの特徴についてまとめてみました。

個人主義と全体主義の差から生まれる欧米と日本のオフィスレイアウトの違い

欧米と日本のオフィスレイアウトの決定的な違いは、個人主義か全体主義かという点です。欧米では個々の権利や能力を尊重する風潮があるため、ひとりひとりが落ち着いて就業できる環境を整えています。
一方、日本では個人はひとつの団体に所属するという全体主義が根底にあり、組織としての形態を重んじる傾向にあります。そのため、オフィスも他者とのコミュニケーションが取りやすいよう、ひとつの部屋にデスクを集めた「島型」と呼ばれるレイアウトが主流となっています。
 
このように、個を重視するか、組織という形態を重視するかが欧米と日本のオフィスレイアウトの決定的な違いとなります。

個人が働きやすい環境を作る!欧米のオフィスレイアウトの特徴

欧米のオフィスレイアウトの特徴は、個人が仕事に集中できる工夫をあちこちに採り入れているところです。
たとえばワークスペースはパーテーションなどで区切り、視界に余計な物が入ったり、周囲の雑音が響いてきたりしないよう配慮されています。 
ここで使われるパーテーションには天井まで背の届くハイパーテーションや、目線の高さほどしかないローパーテーションなどいろいろありますが、いずれもカラーやデザインにこだわったおしゃれなものが多いのも、欧米ならではの特徴です。
 
ワークスペースが区切られていると他の社員と交流しにくくなりますが、社員同士の意思疎通はメッセージアプリやチャットツールを利用するのが基本で、普段は社員同士の対面コミュニケーションを重視しません。
 
一方で、仕事で煮詰まった時に気分転換できるリフレッシュスペースは一転してオープンな空間となっていて、カフェテラスで仕事仲間とおしゃべりしたり、広々とした空間でごろ寝できたりと、思い思いの時間を過ごせる工夫が施されています。
スペースごとの目的意識が明確で、仕事のオンとオフの切り替えがしやすいのが欧米のオフィスレイアウトの魅力です。
 
なお、デスクワークのスペースに関しては、固定の席を決めず、業務内容や働き方に合わせて自由に席を選べる「フリーアドレス制」を採用しているところも多く、自由を尊重する欧米の代表的なオフィスレイアウトのひとつとなっています。

限られたスペースを有効活用!日本のオフィスレイアウトの特徴

欧米に比べて国土の狭い日本では、昔から社員同士のデスクを寄せ集めてひとつの班を形成する「島型」が主流でした。
 
デスクをぴったりくっつけるのでひとりあたりの面積が少なくて済みますし、デスクの結合部に電話を置けば対面する二人が共同利用できるため、効率が良いと考えられたためです。
さらにデスクにつくと必然的に同じ「島」にいる人たちと顔を合わせることになり、コミュニケーションが取りやすいというのも特徴のひとつとなっています。
 
ただ、「島」同士は比較的離れているので他の班とのコミュニケーションは取りづらいことや、周囲の目や音が気になって仕事に集中できないことなどから、近年は欧米のオフィスにならってレイアウトを見直す企業が増えてきています。
面積の問題はたやすく解消できるものではありませんが、パーテーションの活用による個々のワークスペースの確保は比較的容易に導入できることから、現在では多くのオフィスが積極的に採用しています。
 
なお、フリーアドレス制を導入している企業も増加していますが、年功序列が原則となっている日本では「上司や先輩に気を遣って自由に席を選べない」などの不満も多く、社風によっては失敗してしまうケースも多いようです。
 

欧米のオフィスレイアウトを参考にしたいなら手軽なパーテーションの設置から始めるのがおすすめ

2019年4月に一部施行された「働き方改革関連法案」により、各企業において労働環境の見直しが求められています。
先進国である欧米のオフィスレイアウトは労働環境の見直しや改善を行ううえで非常に参考になりますが、もともと日本と欧米では文化や価値観、考え方が異なるため、丸ごと真似しても日本のオフィスと相性が良いとは限りません。
労働環境の改善にはそれなりの手間や費用がかかりますので、まずは社員の要望や意見を取り入れつつ、手軽に導入できるパーテーションの設置などから始めてみることをおすすめします。