オフィスや事務所の原状回復工事とは、賃貸契約の終了時や退去時に、物件を入居前の状態に戻すための工事のことを指します。

国土交通省のホームページによると、原状回復とは、「賃借人が借りたときの物件状態にまで修繕することを指す」と定義づけされています。具体的には、「床、壁、天井、ドア、窓、電気設備、給排水設備など建物の部位や設備について、賃借人の使用によって変化した状態を元に戻すことを含みます」と説明されています。また、契約書に基づき、貸主と賃借人が負担する費用の割合や、修繕作業の期限などが明確に規定されていることが望ましいとされています。

 

「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」こちらから

 

 

しかし、全てのオフィスの原状回復にガイドラインが適用されるわけではないということです。

オフィスの場合は、一般の居住用住宅用途と異なり、賃借人によって使用目的や使用頻度、使用方法が異なるため、同じように定められたガイドラインで対応することが困難であることが第一の理由です。また、契約書によって原状回復の負担範囲や作業内容が明示されるため、契約書に書かれた内容が最重要となる点が第二の理由として挙げられます。各不動産会社や業者が独自にガイドラインを定め、それに基づいて原状回復工事を行う場合もあります。

 

1.オフィスの原状回復の歴史

 オフィスの原状回復に関する歴史については、正確な情報が見つかりませんでしたが、不動産の歴史として考えると、原状回復は比較的新しい概念と言えます。

不動産業界が発展したのは、都市化や工業化が進んだ19世紀末から20世紀初頭にかけてです。当初は、オフィスや住宅の賃貸契約において、入居者が退去する際に、物件を入居前の状態に戻す必要はありませんでした。しかし、入居者が自分の好きなように改装したり、傷つけたりすることが多くなるにつれて、原状回復を求めるようになりました。

原状回復に関する最初の法的根拠は、1930年代にアメリカで制定された「セキュリティ・デポジット法」です。この法律は、賃貸物件の入居者が退去する際に、一定額の敷金を払うことを定め、入居者が物件を破損や汚損した場合、敷金から原状回復費用を引いて返金することを規定しました。

日本では、不動産業界が発展したのは、1950年代から1960年代にかけてです。当初は、原状回復に関する法律や規制はありませんでしたが、不動産業界の発展に伴い、契約書に原状回復義務を明記するようになり、その後、1980年代には原状回復に関する法律やガイドラインが制定されるようになりました。

現在では、原状回復は一般的な契約条件のひとつとして認知されており、不動産業界において重要な位置を占めています。

 

2.原状回復に関する法律とは?

 原状回復に関する法律として、日本では「建物賃貸借契約法」と「民法」があります。

建物賃貸借契約法では、借主が借りた建物やその付属設備を借主の責任で保持し、借主が退去する際には、元の状態に近い状態に戻すことが義務付けられています。また、借主が原状回復を怠った場合、借主は原状回復費用を負担することになります。

民法でも同様の内容が規定されており、借主は借りた不動産を善良な管理者として保持し、借主が退去する際には、元の状態に戻すことが義務付けられています。借主が原状回復を怠った場合、借主は原状回復費用を負担することになります。

また、不動産業界においては、原状回復に関するガイドラインや契約書のサンプルなども存在します。これらの規定やガイドラインを遵守することで、円滑な原状回復が行われることを整備しています。

 

3.オフィスの原状回復、どこまで?

 オフィスの原状回復に必要な範囲は、個別の契約書によって異なります。

日本においては、原則として借主が100パーセントの原状回復費用を負担することが一般的です。ただし、契約内容や法的な規定によって異なる場合がありますので、具体的な契約書や法律を確認する必要があります。

スケルトン状態で借りた事務所であっても、借主は契約書に従い、元のスケルトン状態に戻す必要があります。ただし、通常使用や経年劣化による損耗は、一定程度は許容されることがあります。そのため、契約書には、どの程度の損耗までを許容するかを定めた規定が含まれていることがあります。

契約書や法的な規定に明示的な規定がない場合、どの程度の損耗までを許容するかは判断が難しいため、トラブルの原因となることがあります。そのため、契約書や法的な規定に明確な規定を含めることが重要です。

一般的には、オフィスの原状回復の範囲は以下のような箇所が対象となります。

 

 

  1. 床 カーペットやフロアタイルの撤去、清掃、補修。フロアコーティングの剥離、再施工。
    1. 壁 壁紙やクロスの撤去、補修、塗装。プラスター壁の補修、塗装。
      1. 天井 天井板の撤去、清掃、補修、塗装。天井照明器具の撤去、補修、交換。
        1. 窓 ガラスの清掃、補修。カーテンレール、ブラインドの撤去。
          1. ドア ドアの塗装、補修、交換。ドアノブや取っ手の交換。
            1. 設備機器 エアコン、換気扇のクリーニング、補修、撤去。電気配線、コンセントの修繕、撤去。
              1. その他 水回り(トイレ、洗面所、キッチン)の清掃、補修、撤去。消火器、非常灯、防犯カメラなどの撤去。

                 

                約書で別途規定されている場合は、それに従う必要があります。また、原状回復に必要な費用負担は、契約書で明示されていることが多いため、事前に確認することが大切です。

                 

                4.賃貸オフィス・事務所の原状回復と一般の居住用住宅の原状回復の違い

                 賃貸オフィス・事務所と一般の居住用住宅の原状回復には違いがあります。

                まず、賃貸オフィス・事務所は、通常、建物の使用目的がビジネスであり、オフィス家具や設備が多数設置されているため、原状回復の費用が高額になることがあります。一方、一般の居住用住宅では、居住者が日常的に使用する家具や家電製品が設置されているため、原状回復の費用は比較的低く抑えられることが多いです。

                また、賃貸オフィス・事務所は、通常、賃貸契約期間が短いことが多く、原状回復を行う期間が限られていることがあります。一方、一般の居住用住宅では、賃貸契約期間が比較的長いことが多いため、原状回復を行う期間が長く設定されることがあります。

                さらに、賃貸オフィス・事務所の場合、法的な規定や契約書によって、原状回復の範囲や方法が明確に定められることが多いです。一方、一般の居住用住宅では、法的な規定や契約書によって、原状回復の範囲や方法が明確に定められることは少なく、不動産会社やオーナーの判断によって判断されることが多いです。

                 

                5.オフィス・事務所の原状回復、貸主の負担範囲と賃借人の負担範囲

                 オフィス・事務所での原状回復の範囲において、貸主と賃借人の負担範囲も、契約内容や法律によって異なる場合があります。

                一般的には、賃借人は、通常、物件の使用によって生じた損耗や傷みに関する修繕費用を負担することになります。例えば、床や壁についた傷やシミ、壁に開けた穴、ドアや窓の傷や欠損、設備機器の故障や不具合などが挙げられます。ただし、設備機器に関しては、故障や不具合が賃借人の責任ではない場合や、使用期間が限られている場合は、貸主が修理や交換費用を負担することもあります。元の状態に戻す必要があるため、貸主がスケルトン状態で貸し出した場合でも、賃借人が改装や設備追加を行った場合は、元の状態に復旧するための費用が発生するため、賃借人が負担することになります。

                一方、貸主が負担する費用には、通常、物件の大規模な修繕や改修費用が含まれます。例えば、建物の外壁や屋根の修理、共用部分の改装、エレベーターや空調設備の更新などが挙げられます。ただし、契約内容によっては、貸主が負担する費用も賃借人が一部負担する場合があるため、これも契約内容を確認することが重要です。

                 

                6.オフィスの原状回復をめぐる、よくある3つのトラブル

                 オフィスの原状回復に関するトラブルは様々な形で起こり得ますが、一般的な例を3つ挙げると以下のようになります。

                 

                 

                1. 原状回復費用の評価についてのトラブル 原状回復にかかる費用の評価について、貸主と賃借人で見解が異なる場合があります。例えば、賃借人側は普段から定期的にメンテナンスを行っていたが、貸主側からはそれが不十分だと判断された場合、貸主側が原状回復費用の全額負担を要求することがあるため、トラブルになることがあります。これは、契約書の条項が不明瞭であったり、見積もりの内容が不十分であったり、業者との交渉が十分でなかったりすることが原因であることが多いです。

                2. 修繕内容についてのトラブル 契約書に記載されている原状回復の範囲よりも、広い範囲を原状回復しなければならないケースです。契約書に定められた範囲に加え、貸主や業者の判断によって、本来の負担範囲を超える工事を行わなければならない場合があります。これも、契約書の記載が不十分であったり、物件の状態が契約時と異なっていたりする場合があります。原状回復作業の際、賃借人側が行った修繕作業が貸主側から不備があると指摘され、再度修繕を求められることもあります。また、貸主側が原状回復に必要な修繕範囲を過剰に要求する場合もあり、この点について賃借人側と貸主側で対立することがあります。

                3. 減耗消費も原状回復を要求されるトラブル 「減耗消費」とは、日常的に使用していく中で、必然的に生じる物質的な損耗や劣化のことを指します。例えば、床や壁紙のスレ傷や汚れ、設備機器の故障や劣化、塗装の剥がれなどがそれにあたります。貸主や業者が減耗消費を原因として、通常の使用による傷みや汚れに対しても原状回復を要求する場合があります。これは、契約書に記載された定義が不十分であったり、業者の判断によって、本来の負担範囲を超える工事を行わなければならない場合があります。減耗消費は、物件を長期間使用していく上で避けることができないものであり、契約書によって原状回復の対象となるかどうかが明示されていることがあります。

                 

                また、原状回復作業中に賃借人側の備品や設備が紛失・損傷してしまった場合、責任を問題されることもあります。

                オフィスの原復は、トラブルを避けるために、まず契約書の詳細をよく確認することが大切です。原状回復にかかる費用の負担割合や、具体的な修繕範囲、修繕時期などが明示されているかを確認しましょう。

                日頃から定期的なメンテナンスを実施することで、原状回復作業時の修繕範囲を最小限に抑えることもポイントです。入居中の修繕作業の際に、貸主と調整し、修繕範囲や修繕費用についての確認を取ることが原状回復にときに生きてきます。

                以上のトラブルを避けるためには、契約書の内容を明確に確認し、必要であれば業者との交渉を行い、納得のいく工事内容や費用を決定することが重要です。また、退去前の内見時に物件の状態をしっかり確認し、必要なメンテナンスや修繕を行うことで、原状回復費用を最小限に抑えることができるでしょう。

                 

                7.原状回復工事の流れ

                 オフィスや事務所の原状回復工事の流れは以下のようになります。

                1. 現地調査 オフィスの状況を確認するために現地調査を行います。現地調査では、オフィスの広さや構造、設備、傷みの状況などを把握し、原状回復に必要な工事の範囲を確定します。

                2. 見積もり 現地調査の結果をもとに、原状回復に必要な工事の内容と費用を見積もります。見積もりには、工事費用のほかに、資材費、人件費、諸経費などが含まれます。

                3. 工事の開始 見積もりが承認されたら、工事の開始日を決定します。工事期間中は、工事内容によってはオフィスが使用できなくなる場合があります。また、工事中に問題が生じた場合には、現場で即座に対処する必要があります。

                4. 完了検査 工事が完了したら、原状回復が正しく行われたかどうかを確認するために完了検査を行います。完了検査には、賃貸契約書に定められた原状回復の範囲に対するチェックや、オフィスの設備や設備機器の機能確認などもご相談ください。

                5. 産業廃棄物の処理 ご要望により、廃材などを適切に処理しオフィスを原状回復した状態で納品します。

                6. アフターフォロー 工事が完了した後も、万一不具合が生じた場合には、業者側が保証やアフターフォローを行います。

                 

                原状回復工事が、スケルトン状態に戻すまでか、内装を仕上げた状態にするかによって必要な期間は異なります。

                スケルトン状態に戻す場合、内装材や設備を撤去し、壁や天井の骨組みなどの基本的な構造部分を残すため、比較的短期間で作業を完了することができます。ただし、オフィスの広さや状態によっては、この作業に数週間から数か月かかる場合があります。

                一方、内装を仕上げた状態に戻す場合、内装材や設備を全て取り外し、元の状態に復元する必要があります。この場合、元の状態に戻すための作業が非常に細かく、多くの時間と手間がかかります。したがって、スケルトン状態に戻す場合よりも、より長期間の作業が必要となる場合があります。

                具体的な期間はオフィスの広さや状態、工事の内容などによって異なるため、専門業者に相談することをお勧めします。また、オフィス内の機密情報や設備などの取り外しにも時間がかかるため、余裕をもって工期を計画することが重要です。

                 

                 

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